子どもが犯罪被害に遭わないために親が知っておくべき知識について、地域の安全や犯罪予防を研究する小宮信夫立正大学教授が、実際の事件や事故を基に検証しながら解説する連載。前回(「女児監禁事件から学ぶ犯罪が起きる現場の特徴とは」)は、2015年の夏に奈良で起きた事件から、学ぶべき防犯ポイントについて説明しました。今回取り上げる事件は、1988年から1989年にかけて東京都および埼玉県で起きた埼玉連続幼女誘拐殺人事件。約30年前に起きた事件ではありますが、この事件にも「景色から読み取るべきポイントがある」と小宮教授は言います。そのポイントとは、なんでしょうか。

──今回分析するのは、あの有名な埼玉連続幼女誘拐殺人事件です。非常にショッキングな事件でしたので、事件の概要はよく覚えていますが、事件現場についてはあまり知りませんでした。この事件現場にも、犯罪が起きやすいポイントがあったのでしょうか。

 はい。実は私はこの事件に興味があり、事件現場にも足を運んでいますが、最初の事件で加害者と被害者が出会った場所には、まさに事件が起きる場所に共通して見られるポイント、つまり「入りやすい場所」「見えにくい場所」という特徴がありました(この2つのポイントについては、前回の記事で説明していますので、そちらをご覧ください)。その場所は、「歩道橋」だったんです。

──歩道橋! 歩道橋は、確かに「入りやすい」場所ではあると思いますが、「見えにくい」ということはないように思いますが…。

 そう思いますよね。でも、ちょっと考えてみてください。道を歩いている時、歩道橋の上を歩いている人のことは、よく見えますか? 視線より高い位置にありますし、周りには柵もあるから、実はちょっと見えにくいですよね。柵に、標識や交通標語の横断幕が張られていたりすると、なおのこと見えにくくなっています。

──言われてみれば、確かに…。

 海外では、歩道橋の柵のところに花を飾ったりしているところもあるんですよ。そうすると、人々の視線は自然とそちらに向きますから、歩道橋の上にも目が行くようになり、犯罪が起こりにくくなるんです。日本でも、そういった取り組みをするとよいかもしれません。


海外の歩道橋のなかには、このように花を飾り、道を歩く人の目を惹く工夫をしているものもある