「自分はできる子だ」という“思い込み”を持たせよう

──保育園最後の1年間の成長を振り返って、子どもに自信を持たせるために何をすべきかを、親は常に考えたほうがいいということですね。

親野 それがすごく大事です。なぜかというと、自信を持たせることで「自己肯定感」を少しでも高めておけるからです。自信がなくて、自己肯定感の低い子どもは、何をするにも「オレ、ダメ」「できない」「私、ムリ」となってしまいます。勉強はもちろんのこと、遊びでも生活習慣全般でもそうなりがちです。

 逆に、自信があって自己肯定感が高い子どもは、勉強でも運動でも生活習慣でも「できそうだ」と思って、頑張ることができる。たとえ、何か壁にぶつかったとしても、「できるはずだ」と乗り越えられるのです。自己肯定感が低い子どもは、「やれそうだ」とも思わないし、その前に頑張る気力が起こらない。ちょっとやってみたとしても、「やっぱりダメだ」「どうせダメだ」と、何においても頑張れなくなってしまうのです。

 だから、本当に漠然としたものでいいんです。小学校入学前にできるだけ、自己肯定感を育てておきたいですね。「ボクはできる」「ボクはやれる」「できる子だ」といった“思い込み”を持たせてあげてほしい。これが、特に小学校に上がってから伸びるかどうかの境目になってくると思います。

 これは、何に関してもそうです。自己肯定感や自己イメージといったものが低いままの子どもというのは、いろんな面でなかなか伸びないんです。人生というのはある意味、思い込みで決まるようなものですからね(笑)。

──生きて行くうえでの、すべての事柄の根本にも関わってくるお話です。そのためには、親がわが子を褒めるポイントをしっかり見てあげないといけないですよね。

親野 そうですね。しかも実はその自己肯定感が高くなるかどうかは、親の言葉に左右されます。親の言葉がいつも否定的だと、自己肯定感はなかなか育たないんです。「また、あれやってない」「なんでしないの!」「しなきゃダメでしょ!」などと、否定的で、しかもとがめるような言葉をいつも浴びている子どもというのは、「自分ってダメな子だなあ」となってしまうんですよ。そういう言葉を極力、小学校入学前は特に気を付けて言わないようにしてほしいですね。

 できたことや頑張ったことをできるだけ見つけて褒めてあげる。それができる親でいれば、子どもの自己肯定感はどんどん高まるはずです。