大人のマナーで先生ともなじみに、親同士も仲良く!

──モンスターペアレントが増えているという話も聞きますが、そこは大人のマナーを守らなければならないですね。

親野 たまに“鉄砲電話”とでもいいますか、挨拶もなしにいきなり学校にクレームを付けるような電話があります。例えば、学校から帰ってきた子どもが、こういうことがあったと親に言うじゃないですか。その子どもの話を真に受けて「どういうことですか! 子どもがこう言っているんですけど!」と。そうなると、学校としても身構えてしまいます。そういうときはまず、しっかりと子どもの話を聞いたほうがいいでしょう。

 もちろん、学校に電話することは悪いことではありません。早めに処理してもらえますから。けれども、大人のマナーとしての前置きはやはり、必要です。「いつもお世話になります」と前置きしておいてから、用件を伝える。クレームを言う感じではなく、相談するといったスタンスが大事です。どうも、そういう社会人としての当然ともいえるマナーが分かっていない親御さんがいらっしゃるので、そこは注意するようにしていただきたいですね。

──先生とのコミュニケーションという部分で、保育園や幼稚園と小学校の違いもあるのでしょうか?

親野 そういうわけでもないのでしょうが、保育園なら送り迎えのときに、幼稚園なら送迎バスに乗り降りするときというように、先生と直接お話しする機会が多いということはいえますね。ところが、小学校に入ると先生との接触頻度が極端に少なくなり、コミュニケーション不足に陥りがちです。それだけに、大人のマナーを忘れず、しっかり先生とコミュニケーションを取ることが大事になると思います。

 小学校に入学して1カ月くらい経つと、授業参観や懇談会などがあるはずです。そういう絶好の機会になるべく参加して先生となじみになるなど、積極的にコミュニケーションを取るようにしましょう。

 他にも学校に来る機会があるかと思いますが、そういうときには「先生、いつもありがとうございます」といった挨拶をして、「休み時間に先生に遊んでいただいているようで、子どもも喜んでおります」など、ちょっと先生を持ち上げる感じで、日ごろからよい人間関係を築いておくといいと思います。

──子どももそうですが、親も新しい環境に慣れていかないといけないということですね。

親野 親同士の懇談会などでは、新しいクラスの親同士、知らない人でも挨拶したり、話しかけたりしてほしいですね。懇談会の前に子どもから「今日は○○ちゃんと遊んだ」とか、クラスの子の話が出てきたりしたら、ちょっとメモしておくといいでしょう。

 その子のお母さんが分かったら、「いつもウチの子がお世話になっています」と挨拶をして、自分の子どもと仲の良い友達の親と知り合いになっておく。積極的にアプローチをして、親も交友関係を広げておくといいでしょう。

 そういうところで親同士がつながりをつくっておけば、何かあったときに助けてもらえることもありますし、子ども同士でトラブルが発生したときも大ごとになりにくい。全く知らない親同士の関係でトラブル処理を始めると、人間関係がこじれてしまうことがよくあります。

 できるだけ先生ともなじみに、親同士も仲良くなっておくと、後々、何かあったときに助かります。子どもと共に、親も新しい環境に順応していこうとする姿勢が大切だと思います。

親野 智可等

親野 智可等(おやの・ちから)

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山桂一。公立小学校で23年間教師を務めた経験と知識を、少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数は4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。ブログ「親力講座」も月間15万PV。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。近著に『「自分でグングン伸びる子」が育つ親の習慣』(PHP研究所)などがある。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。