「長時間労働」がイクメンパパの敵

 今回、お申し込みは旦那様ですよね。普段日経DUALは読まれてますか?

 メチャクチャ読んでますね(笑)。

 男性からのご相談申し込みは全然珍しくはないんですけど、どんな記事を読んでますか?

 中嶋さんの連載も読んでますけど、主に子育てですね。イクメン関連の記事は特に。僕みたいに仕事と子育ての両立で悩んでる男性って、身近にはあまりいないんです。育児休業を取得する男性もほとんどいないじゃないですか。

 割合では1ケタですからね。

 僕はイクメン同士の集まりとかイベントによく行くんです。有名なところだとファザーリング・ジャパンとか、あとは公的機関が主催するものとか、飲み会に近い集まりもありますけど。そういうところで会うイクメンの方は皆さん日経DUALを読んでますよ。

 確かにそういう受け皿というか、イクメンの方が読むメディアって他にあまりないですよね。子育て雑誌はありますけど、子育てと仕事・キャリアの両面となると女性向けでも少ないですから。男性向けとなるともっと情報はないんでしょうね。

 そういう集まりで知り合った人とはフェイスブックでつながっていて、日経DUALの記事がよくシェアされているのが目に入ります。つい先日もイベントに行ってきたんですよ。

 (イベントに関するウェブサイトを見て)結構参加者多いですね。これはセミナーではなくグループワークですかね。何の話をしてるんでしょう?

 その時々で違うんですけど、ワークライフバランスとか、ママの気持ちを理解するとか(笑)、あとは働き方の見直しとか、色々ですね。ただ、こういうイクメン同士だとグループワークでも雑談でも結局は結論が同じで。働く時間が長過ぎる、って話に必ずなるんです。

 そういう企業は全部、小室淑恵さんのコンサルティングを受ければいいのに、って言いたいですね(笑)。

 長時間労働だと子どもと接する時間も短くなりますし、健康面でも問題は出ますし、奥さんとの会話の時間も減りますし。かといってそんな簡単に短縮はできませんし。こういう集まりに来ている方って結構大手企業でバリバリ働いている人が多くて。

 確かにそんなイメージはありますね。仕事にやりがいはあるし収入も高いけど、でも家族と一緒にいる時間がこんなに短くていいのかな、みたいな空気は普段自分がFPとして住宅購入の相談を受けていても感じますから。これじゃあ何のために働いてるんだろう、って思う人も当然いますよね。お子さんが小さい時期って本当に一瞬ですから。

 それは私も思います。そういうときに人に預けっぱなしでいいのかなって。だから延長保育とか学童保育で遅くまで預けるとかはあまりしたくなくて。よその家庭がどうこうじゃなく、単純に私も夫もそういう選択肢は選びたくないなって思うんです。

将来の転職を見据え、住宅ローンを抑える

 う~ん、多かれ少なかれ、皆さんそういう思いは抱えているんですよね。仕事とライフプランの関係って本当に難しいんです。過去の自分の連載でも高いマンションを買う話が結構ありますよね。あれって普段のウチのお店での相談も全く同じなんですけど、皆さん積極的に高い家を買いたいと思ってるわけじゃないんです。今の給料を維持するには、つまり今の職場で今のパフォーマンスを維持するには、ちょっと安くなるからといって通勤時間が長くなる場所には買えない、ってことになるんです。そうすると購入できる地域がかなり狭められてしまって、都心部への通勤に便利な場所にある7000万円のマンションを「仕方なく買う」とか、そういう変な状況になるんです。

 私の同僚でもそういう人はたくさんいます(苦笑)。

 都内だと新築マンションが6000万円とかは普通ですから、自分も感覚がマヒしてるのかもしれないですけど、高い収入を維持するために高いマンションを買う、ってやっぱりどこかいびつですよね。「鶏と卵」の関係と同じで、給料が高いから高いマンションに住めるともいえますし、高いマンションに住んでるから高い給料を得られる職場で働けるともいえますし、何ともいえないことではあるんですけど。

 僕がマンションを買ったのは2年くらい前で、もっと高額なマンションを勧められましたけど、いつかこういう転職を考える可能性が高いと思っていましたから。予算はかなり抑えめにしましたね。それは妻も賛成してくれたのでローンの支払いではかなり楽をしています。

 事前に頂いた情報ですと、旦那様は地元に密着したコミュニティービジネス(地域の課題をビジネスの手法で解決する取り組み)、具体的には子育て世代とか子ども向けにビジネスを展開したい、まずは週末起業的に始めて、そこから早い段階で出版社を辞めて完全に地元で働く形に軸足を置きたいと。理由としては、先ほどうかがった仕事とか通勤にかかる拘束時間が長過ぎて子育てにかけられる時間が極端に短いので、自宅とその周辺で完結する働き方にしたい、ということですね。

 はい、そうです。