子どもの成長はうれしいものですが、幼稚園、小学校、中学校と進むにつれて子どもをとりまくトラブルは色々と出てきます。ママ友とのいさかい、子ども同士のけんか、学校とのトラブルなど子育て世代の悩みは尽きません。万が一トラブルが起こった際は穏便にすませたい人間関係ですが、素人判断で間違った対処をすると大変な事態を招くことも? そこで、よく起こりやすいトラブルの実例とその対処法を、弁護士法人・響の徳原聖雨弁護士に聞いてみました。

 第1~2回目のママ友・友達間のトラブルに続いて第3回目となる今回は、近年話題のSNS上のトラブル。ツイッター、Facebook、LINEなどに代表されるSNSは便利で楽しい反面、もめ事を招くことも。身近に起こりやすい事例ごとに、法律家の視点での問題対処法を教えてもらいました。

CASE1 ネット上に子どもの実名を書き込まれ、名誉を傷つけられた

Q. 小1の男の子、学校で女の子にスカートめくりや、ふざけて「カンチョー」をしたら、女の子が太ももにひっかき傷をつくってしまいました。相手の親が激怒。学校を通して話し合いをしましたが、それでも怒りおさまらず、ネット上に「〇〇〇(男の子の実名)にわいせつされた」と書き込まれました。こういったことに法的措置、または対応策は取れるのでしょうか。

A. まずは、相手の親に対して削除をお願いすることが考えられます。ところが本件のように激怒している親は、簡単に削除に応じてくれそうにはありませんね。その場合は、書き込まれたサイトが掲示板サービスの場合には、掲示板の管理者に対して該当する投稿を削除するよう頼むのがよいでしょう。

 プロバイダ会社にも、削除を求めることができます。現在は、いわゆるプロバイダ責任法が制定されています。今までは知らぬ存ぜぬだったプロバイダですが、ひどい書き込みについては削除してくれるはずです。その方が問題解決は早そうです。

 実名掲載した親に対しての法的措置としては、削除を求める仮処分(弁護士が書面にし、裁判所に提出する)をすることが考えられます。でも書面にするためには、「掲載事項を削除しなければならない必要性」を訴えることが必要で、それが少々難しいのです。

 書き込みされることによっていじめられるとか、子どもの将来が危惧される、実名を書かれて本人も家族も精神的なダメージを被る、などの諸々の事情を証明しなければいけません。これらは、現実にすでに起きていることではなく、あくまでもこれから先の将来のことです。将来に起きる蓋然性が高いのだ、と証明することはやはり難しいといえるでしょう。一寸先は闇といいますしね。それでも証明しようとするのであれば、ネットでの書き込みからどのようなことが起こりうるのかの因果関係を緻密に考える必要があるでしょう。ちなみに、名誉やプライバシーとは別次元での訴訟になります。