2015年4月に「子ども・子育て支援新制度」が開始されて以来、 3歳児が保育園に入れない「3歳の壁」という問題が浮上しているのをご存じでしょうか。例えば、東京・渋谷区では3歳児の申し込みが定員の2倍以上あり、70人を超える待機児童が出ています。こうした待機児童の中には、区が設置し、民間事業者に運営を委託している認可外保育施設(待機児童のみ対象)に通える子どももいますが、それも3歳児クラス1年のみと決まっています。また4月以降の行き先が全く決まっていない待機児童もいるのです。
 新制度後、状況がよくなってきていることも含め、今起きていることを「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さんに伺いました。

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日経DUAL編集部 子ども・子育て支援新制度が始まり、今度の4月で2回目の「4月入園」の結果が出ます。保育園入園の問題は改善しているのでしょうか。

普光院亜紀さん(以下、敬称略) 新制度では、「認可」の中に小規模保育や家庭的保育事業が新たに含まれます。認可の保育施設・事業の種類が増えたことで、市区町村が待機児童対策を進めやすくなったことは確かです。

 ただ、新しい問題も懸念されています。「保育園に入れない」心配が、0~1歳児だけのものではなくなってきているのです。

 これまでは、3歳になると一定数が幼稚園に入園したり、保育士の配置基準が1~2歳児の6人に対し、3歳児では保育士1人につき20人になったりするなど、認可保育園に入りやすくなるのが一般的でした。

 ところが、小規模保育・家庭的保育の対象は3歳未満児なので、3歳になった子ども達は4月には別の保育施設(認可保育園、認定こども園など)に移らなくてはいけません。地域のそういった施設の3歳児クラスに空きがあれば、問題なく移れますが、空きがないと3歳で行き場を失う「3歳の壁」に遭遇することになります。子ども達の受け皿が確保されているかどうかにより、3歳児の待機児童が増える可能性が出てきているのです。

 国は、認可保育園や認定こども園などが「連携施設」として協定を結び、受け皿になるという構想を描いています。しかし、新制度開始すぐには協定が成り立ちにくいことを想定して猶予期間を設けているため、現在、小規模保育・家庭的保育には連携施設がないところが多くなっています。

 連携施設がない場合でも、3歳で卒園する子ともには利用調整指数で加点がなされ、認可保育園や認定こども園への入園が優遇されることになっています。とはいえ、それは希望する園の3歳児クラスに空きがあってこそ成り立つ話。空きがなければ、いくら優遇されても入園できません。

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