――  「集団保育で社会性を育む時期」だと考えると、3歳児の保育で大切なことは何でしょうか?

普光院 そもそも保育園とは、専門性を持つ保育士などの職員が、家庭と共に子どもの状況や発達過程をふまえて養護と教育(5領域の活動)を一体的に行う場所です。

 歌を歌ったり、絵を描いたり、工作をしたりと色々な遊びをしながら、保育士・友達との関わりや季節行事を織り交ぜた年間の活動を通して、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域を養っていきます。遊びを通して学び、生きる力を育てる全人格教育は、幼稚園だけでなく保育園も同じです。

 就学前の3歳以上児は、生活に必要な習慣や態度を身に付け、体も心も育つ大切な時期になります。周囲と安定した関係を保ちながら活動を徐々に広げていき、思い切り体を動かして遊んだり活動したりして、身体機能はもちろんのこと、達成感や充実感を高めていくことが非常に大切。そうした意味でも、「3歳の壁」は今後の大きな課題となっていくでしょう。

 園庭を取り巻く最近の状況も気がかりです。認可保育園は幼稚園と外形的に遜色ないところが多いですが、新制度で認可が下りやすくなり、認可外から認可への移行が進んでいるため、実は園庭を持たない認可保育園も増えています。園庭のない保育園の場合、園庭の代わりにどんな公園をどのように利用しているのか、戸外遊びの実態を見て、園を選ぶ必要が生まれています。

 新制度では、求職中でも保育を利用できることが広くアナウンスされて利用者が増えたり、国の取り組みとして待機児童対策や質の向上のための予算が確保されたり、良い面もたくさんあるのですが、量と質が相克してしまうような状況も見られ、今後に課題を残しています。

(構成/山田真弓)