―― 利用調整指数の加点が4月末で消失し、5月以降は待機児童として「振り出し」に戻ってしまうという、驚くべき渋谷区の事例もあるそうですね。果たして、それでも小規模保育や家庭的保育などの認可に入ることに意味はあるのかと考えてしまいます。

普光院 小規模保育、家庭的保育の連携施設が十分ではなく、3歳児の入園事情が厳しい地域では、小規模保育などではなく、認可外に入園したほうが認可保育園などに入りやすいのではないか、という見方もでき、悩む人も出そうです。

 というのも、小規模保育・家庭的保育の場合、1~2歳での転園希望には加点が付かないからです。「認可在園児の認可への転園」は不利になる自治体が多いのです。これに対し、認証保育所や横浜保育室などの認可外保育施設ですと、一定期間在籍すれば、認可外在籍の利用調整指数の加点をつけてもらえます。

 ただし、これは地域によってまったく事情が違いますので、3歳での入園状況をよく調べて判断してください。

―― もし認可外や小規模保育・家庭的保育から認可保育園への転園に失敗して3歳で待機児童になってしまった場合、どんな選択肢が考えられますか?

普光院 3つあると思います。1つ目は、預かり保育が充実している幼稚園を探すこと。意外な救いの手は、幼稚園から伸びてくる場合があります。このとき、預かり保育時間や実施日がママやパパの働き方に合っているかに注意します。

 追加募集があれば、4月に間に合うかもしれません。区立などの公立幼稚園は2年保育が基本で預かり保育をしていない場合も多いのですが、念のため確認しておくとよいでしょう。私立の場合、3年保育が多くなっていますが、通常は秋ごろに説明会や入園募集をしているケースが多く、待機児童が多い地域では幼稚園もすでにこの時期には定員に達しているケースがほとんどのようです。とはいえ欠員があれば受け入れられる場合もあるので、希望を捨てず、確認してみてください。

 2つ目は、現在通っている認証保育所や小規模保育などでの継続保育です

 認証保育所などの認可外保育施設では、希望があれば、3歳以上児も預かることは少なくありません。また、小規模保育でも特例扱いで残ることはできるそうです。ただし、同年齢の子どもと遊べない環境は、本来、集団保育で社会性を育む時期の子どもにとっては、物足りないかもしれません。子どもの状況をよく見て、判断しましょう。

 3つ目は、前回の記事で詳しくお話ししましたが、保育園に入りやすい地域への引っ越しがあります。

 新設の認可保育園では、3歳以上児クラスになると空きが十分にある可能性も高いです。そうした新設園を毎年増やしている自治体を調べ、住まいを移すのも一つの有効手段だと思います。

 最近では、習い事系の幼児教室などで一日の預かりをしてくれるところが増えてきました。月謝は高いのですが、「習い事もしてくれるなら一石二鳥」と考えて選択肢にする人もいるかもしれません。しかし、子どもが一日過ごす場として適切ではない場合もあるので、注意が必要です。

 「○○教室」「○○インターナショナルスクール」と保育施設をイメージさせない名称であっても、子どもを預かる場合は認可外保育施設に分類されることを知っておきましょう。保育施設である以上、施設や保育者の配置には基準が設けられます。

 昨年、東京都から最低基準違反で再三の改善命令を受けていた「インターナショナルスクール」で、過去に死亡事故が起こっていたことが分かったニュースがありました。保育施設は子どもが長い時間生活する場なので、安全で安心な人的・物理的な環境が整っているかはとても重要。保育園同様、見学をして確かめることが大切です。