CASE3 家に遊びに来た子どもの友達に、家具を壊された

Q. 保育園で仲良しの子が遊びに来ました。自分の子どもと遊んでいたのですが、相手の子が投げたおもちゃが当たり、家具を壊されてしまいました。これは、相手の親に請求できますか?

A. この事例を大人のケースで考えると、壊した張本人に不法行為を理由として損害賠償請求することが考えられますね。しかし幼稚園くらいの子どもである場合、自分のした行為について責任を負わせてもいいものか問題となります。子どもには、責任を負わせてもいいだけの能力(責任能力)がまだないのではないかと考えられるからです。責任能力とは、自分の行為が法律上何らかの責任が生じるかどうかを判断することができる能力のことです。

 子どもの責任能力がないと判断されると、子どもの代わりに親へ損害賠償請求することになるでしょう。仮に、小学生や中学生くらいの子どもで責任能力が認められる場合には、やはりその子ども自身へ請求することになります。もっとも、子どもへ請求したところで、その子どもには支払い能力はないでしょうし、意味はないと思われます。そうすると、やっぱり親へ損害賠償請求したいですよね。そこで、子どもに責任能力が認められたとしても、親が子どもに対して監督すべき責任を果たしていなかったと言える場合には,親へ直接損害賠償請求することができます。この場合の監督すべき責任は、単なる注意「人のものを壊したらだめよ」と言うだけでは果たしているとは言えません。注意したうえで子どもがその約束を守っているということが前提になるのです。

 子どもに責任能力が認められ、親が監督責任をきちっと果たしていたという場合は、結局子どもへの請求ということになってしまいます。子どもは支払えないでしょうから、物を壊された側は泣き寝入りすることになりかねません。

 しかし、良識ある親であれば子どもが高価なモノを壊した場合には、親同士の話し合いによって弁償をどうするかを決めるのが最適な策だと思われます。そんな高価なモノであったのに明らかに子どもの手に届くような危ない場所に置いてあったなど、壊された側の落ち度が認められれば、賠償額は壊れたモノの価格全部というわけにはいきません。場合によっては、半分に減額となってしまうかも。

 法律を突き詰めていくと責任能力とか監督責任とかの専門的な話になりますが、一般的には親同士の話し合いで解決したいトラブルですね。

 特に、単価の安いおもちゃなどのモノの場合には、話し合いでの解決をおすすめします。壊したモノが高価な品でトラブルとなり、人間関係がこじれてしまうようであれば弁護士に相談するのもよいでしょう。

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(取材・文/小泉恵里 イメージ写真/坂齊清 タイトルバナー/中村 道高(tetome))