保活はやり方も結果も人それぞれ。でも、先輩の体験談には知恵がいっぱい詰まっているはず。ぜひじっくり話を聞いて、これからの保活に生かしてほしい――。そんな思いで新企画をスタートしました。今回紹介しているのは、共働きママ(38歳)。結婚を機に、学生時代から憧れだった自然溢れる東京近郊のA市に移住し、息子(6歳)と娘(3歳)を0歳児から第一希望の認可保育園に通わせています。雑誌を制作する編集プロダクションに採用された2週間後に第一子を妊娠。認可保育園の枠を手に入れた後、長女を妊娠。さて、2度目の保活も、工夫を凝らして乗り切れたのでしょうか?……。「育休中に地元のママ友づくり。でも、保活は孤独」「在園児の親と保育園の先生は、保活のチームメイト」に続く、最終回です。

いざ、市役所へ。わが保育園の担当者にアポをとって面会

 早速、「出産予定日が12月中旬であるため、保育園申請時期を過ぎてしまう」と、息子が通う保育園を担当する市役所職員に伝えてみました。その職員も最初は「それは大変そうですね」といった他人事のような顔をしていましたが、「1月生まれの子を受け付けてくれた例があるようですね」と聞くと、明らかに態度が変わりました。

 「ひとまず、現状ではお腹の子は順調ですか?」「どこで出産しますか?」などと私に質問してメモを取るのを見て、「やっぱりまたメモしている!」と思いました。「では、お子さんは12月生まれの予定で、東京での里帰り出産ですね。旦那さんも一緒ですか?」といった一通りの確認を終えると、「出産後、すぐに私に連絡をください。問題なければ審査に追加できると思います」と言ってくれたのです。心の中でガッツポーズをしていました。翌日、園長先生に報告すると、自分のことのように一緒に喜んでもらえました。

娘を出産した翌日、市役所に電話報告

 12月。小雨が降る寒い日に、小さめの2200gで娘が生まれました。とても元気でしたが、何かあったら大変だという病院の判断で、念のためNICUを備えた大きな病院に救急車で搬送されました。病院の入口で救急車を見送るパジャマ姿の私を、妊婦健診に来ていたお母さん達が心配そうに見ていたのを覚えています。

 話し相手だった夫は、娘に付き添って救急車に乗り込み、元気付けてくれるであろう息子は実家に預かってもらっていたので、病室には私だけ。こんなときでも「早く市役所に電話しなくては」と考えている自分に少し嫌気がさしました。

 「無事に娘が生まれましたので、明日、夫が申請書類を持って行きます。よろしくお願いします」と市の担当者に伝え、「おめでとうございます」という言葉をもらって電話を切ると、ちょうど夫が娘の病院から帰ってきたところでした。矢継ぎ早に娘の容体について質問する私に、「今は詳しく分からないよ」とだけ繰り返す夫。明日、仕事前に市役所に寄ってくれる夫に申請書類を託して、早めに眠りました。

 結局、検査の結果はなんともなく、娘は少し長めに入院したのち退院することができました。1カ月間の里帰り期間中は、息子も保育園はお休みすることに。最初は「息子が1カ月も休んだらみんなに忘れられちゃうんじゃないか」「保育園に行きたくないと言い出すんじゃないか」と勝手に心配していましたが、3歳の息子にとっては長すぎず、短すぎない、程よい旅行のような時間になったようです。 娘の1カ月児健診を受診するために久々に自宅に帰ってくると、家族が4人になったことをようやく実感できました。