2016年2月2日、一橋講堂(東京都千代田区)にて、一橋大学大学院国際企業戦略研究科・経営法務シンポジウム「女性も男性も輝く職場のために~法政策の進展と実務課題~」が開催され、120人の参加者が詰め掛けました。2016年4月から施行される「女性活躍推進法」のポイントが説明された後、識者によるパネルディスカッションが行われた様子をお伝えします。

「状況把握・課題分析」「行動計画策定」「労働局への届け出」「情報の公表」

厚生労働省の雇用均等・児童家庭局・雇用均等政策課・課長補佐の岸田京子さん
厚生労働省の雇用均等・児童家庭局・雇用均等政策課・課長補佐の岸田京子さん

 2016年4月から新たな女性活躍推進法が全面施行される前に、企業などに義務付けられる新しい取り組み内容をおさらいしておきましょう。この「義務」は、301人以上の労働者がいる事業主に対して課されているため、「自分の勤務先が該当する」という方も多いはずです。

 一橋講堂で開催された経営法務シンポジウムでは、まず、厚生労働省の雇用均等・児童家庭局・雇用均等政策課・課長補佐の岸田京子さんが、女性活躍推進法の施行について、概要を説明しました。

岸田さん 女性活躍推進法では、女性の活躍推進の取り組みを着実に前進させるために、国、地方公共団体、一般事業主、それぞれの責務を定め、雇用している、または雇用しようとする女性労働者に対する活躍推進の取り組み実施について規定されています。

 具体的に申しますと、常時雇用する労働者の数が301人以上の事業主に対し、以下の4つが義務付けられます

1) 自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析
2) 状況把握、課題分析を踏まえた行動計画の策定、社内周知、公表
3) 行動計画を策定した旨の都道府県労働局への届け出
4) 女性の活躍に関する状況の情報の公表

 この「301人以上」には、正社員だけでなく、パート、契約社員、アルバイトなどの名称にかかわらず、期間の定めなく雇用されている者、一定の期間を定めて雇用されている者であって、過去1年以上、引き続き雇用されている者、または雇い入れのときから1年以上引き続き雇用されると見込まれる者も含みます。

 常時雇用する労働者が300人以下の事業主については、上記の4つが努力義務とされていますが、企業の規模にかかわらず、個々の事業主の課題に応じて積極的に取り組むことが奨励されています。

 「行動計画の外部への公表」および、「女性の活躍に関する情報公表」の公表先としては、厚生労働省が用意している「女性の活躍・両立支援総合サイト」をご活用いただけます。業界内・地域内での自社の位置付けを知り、自社の取り組みを学生や一般の方々にアピールできる機会としてお使いください。

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