実は、政治家にDUAL層の声は届いていない
駒崎弘樹さん(以下、敬称略) 宮崎さんとは、実はだいぶ昔にお会いしたことがあるんですよね。
宮崎謙介議員(以下、敬称略) そうなんです、あれは13年ほど前だったかと思います。僕は日本生命に入社したばかりの新入社員で、駒崎さんの学生時代の友人という優秀な先輩が、「キャリアのビジョンが見えない」と悩む私に「面白いやつがいるよ」と紹介してくれたんです。3人でバーで話をしたとき、私の思考があまりにまとまっていなかったのを見抜いて、駒崎さんがきっちり整理してくれ…。「鉄が好き?」「いや、鉄は好きじゃないです」「食品は?」とか色々話していくうちに「人が好きなんじゃないの?」と駒崎さんに言われ、改めて自分の人好きを認識したんです。「人材分野でキャリアを築くことを考えようかな」と。結局、インテリジェンスという人材派遣会社へ転職し、その後、ITベンチャーも経験して独立。そして、あのときのアドバイス通りに、人が好き過ぎて、政治の世界にたどり着いた感じです。
駒崎 全く覚えてないですが(笑)、お役に立てて何よりです。今はおいくつですか?
宮崎 35歳になりました。
駒崎 僕が36歳なので、同年代ですね。さて今回の育休騒動、僕はイクメンプロジェクト推進委員会の座長を務めていて、男性の育休を盛り上げていこうという立場なので「これは面白い人が来た」と思いました。1月18日のファザーリングジャパン主催の緊急フォーラム「どうなる?議員の育休?」でもこの話題は大盛り上がりでしたね。参加者はみな宮崎議員を応援し、期待を感じられましたが、いかがでしたか?
宮崎 サイボウズの青野慶久社長や文京区の成澤廣修区長など様々な方からアドバイスをいただいて励まされました。あの場にいた方々は、私がいつも参加する自民党の集会などではあまり会わない方々なんですよね。フォーラムを聞きにいらした方々は、町の公民館などで車座になって支持者と話し合うような集会にはいなくて、駅前で演説をするときに接点があるだけ。通りすがるだけでまともに会話できる機会はあまりないんです。
駒崎 それって、面白い視点ですよね。政治家が普段コミュニケーションをしている人達は、いわゆる我々DUAL層ではない、政治家の視野にDUAL層は入っていないんだということを読者は認識したほうがいいですね。
宮崎 支持者は地域密着の保守層が多く、政治もそういう方々のほうを向いています。若年層とか子育て世代の声は届きづらいし、予算も確保しづらいということにつながっていると思います。