育休中もゼロではなく、“半育休”で部分的に仕事を続けます
駒崎 お子さんを欲しいというのは、前から思われていたんですか?
宮崎 子どもが大好きなので、ずっと欲しかったですね。選挙に出ることを決めたのが30歳で、そのときはパートナーもいなかったんですが。その後、せめて2回当選してからと思っている間に相手の年齢の問題も出てきて。車2台分くらいのお金をかけて不妊治療が成功したという話も聞いたりして、自分達が子どもに恵まれたことはありがたいことで、しっかり子育てに向き合っていこうと二人で話し合いました。
駒崎 奥様も国会議員という道を歩まれていて、結婚するときは遠距離になるなどの戸惑いはあったんですか?
宮崎 それはありました。でもある一定期間付き合ってみて、平日、週末を問わず地元との往復ですが、「夜遅い時間でも何とか一緒に食事ができるね」「週末は離れ離れだけど、こういうリズムも一つのあり方だよね」という話になって。遠距離恋愛を継続している方々に比べれば、恵まれているほうですよね。
子どもができたら大変ということも考えましたが、そこは子育てしながらでないと分からないこともあるから。なるべく一緒に家事・育児をしていくつもりで、場合によっては私が京都に連れて帰ることもできるよね、という話をしています。
駒崎 なるほど。育休を取ることになれば、どのようなリズムでされる予定ですか?
宮崎 シミュレーションをたくさんしてみています。立場も仕事もありますので、最低限出なければならない仕事、つまりど真ん中の本会議の採決などは、国会議員の責務として、妻や両親、友人、シッターさんの手を借りながら、していきたいと思っています。
1、2カ月育休を取りたいと思っていましたが、現実問題としては厳しいと思っています。まとめて取るのか断続的に取るのか、状況に応じて、いろんな考え方があるのかなと。
駒崎 なるほど。僕自身の経験でいうと、一応余人をもって代えがたいとされている経営者という立場ですが、育休を2カ月取りました。ただ、全く仕事をしないのではなく、1日1.5~2時間、メールを読んだり電話会議したりということはOKにしたんです。そのくらいの時間があれば、本当に大事なことはできてしまうんです。
男性が育休を取るときに、仕事から完全シャットダウンだとつらいかなと思い、こういう「半育休」みたいなのもいいんじゃないかなと、当時の少子化対策大臣の森まさこさんに「ちょっと働けるみたいなのもありだと思いますよ」と言ったところ、「いいわね、それ」って。それがどれだけ貢献したか分かりませんが、その後制度化してくれたんですよ。2014年から、育休中でも月80時間までの就労なら育児休業給付金(※)がもらえ、働けるようになったんです。 (※育児休業給付金=雇用保険に加入していれば、育休を取得し1歳未満の子どもがいる場合に賃金の一部が支給される)
イメージとしては、育休というと完全に消えるみたいな感じですが、そうではなくて一定期間育児がメインになるだけ。「採決の日だけ出るよ、でも育休中だからね」というのはありじゃないでしょうか。
宮崎 多様な育休のあり方があっていいんだとなっていくといいです。
駒崎 宗教などではなく、ライフスタイルなんだから、幅があっていいですよね。10か0かではない話になっていくといいと思います。
(構成/岩辺みどり 写真/鈴木愛子)