“女性が働くのが当たり前の社会”に遅れを取る政界

駒崎 僕らの世代にしてみると、子どもは夫婦一緒に育てていこうというのが当たり前の考え方になっていると思いますが、どうでしょう? 宮崎さんは一般企業に就職して社会人になり、何社か経験されてから政治家になっているので、「普通の人生」を歩む中でそういう価値観が形成されてきたのかなと思ったのですが。

宮崎 大手、中堅、ベンチャーと、それぞれ違う形態の会社を経験してきたので、そうですね。インテリジェンスやITベンチャーでは女性もバリバリ活躍しているのなんて当たり前のことでしたし、人材ビジネスを立ち上げたときも仕事相手に外資系が多かったので、ダイバーシティーや女性活用も自然にトピックに上がっていましたね。

駒崎 そうですよね。その感覚で政治家になって育休を取ろうとしたら、「おいおい」と止められた感じだったんですかね。

宮崎 批判はあるかもしれないと思ったけれど、ここまで大きいというのは正直、意外で驚きました。育休自体は、それこそ代替の利かない知事や自治体の首長が取った例もありましたし

駒崎 やはり理解しづらいのは上の世代かなと推測しますが、若手議員の反応はどうですか?

宮崎 結構割れていて、応援してくれているのかなと思ったら、「おまえ、やっちゃったな!」という反応もありました。

駒崎 そこはかばってくれないんだ?!

宮崎 「国会議員だし、おまえちょっと違うんじゃないか」と言われることもありました。男性の育児参加に対するネガティブな反応に加え、「国会議員は会社員とは状況が別」という議論も始まって、議論の焦点がさらに複雑になった感があります。

駒崎 確かに、野党の反対派が与党の保守派と合意したみたいな、ねじれ現象が起きてしまいましたよね。

宮崎 野党の中でも条件反射で反対した人が目立ちましたが、応援してくれる人もだいぶいたんです。幹部が私のところにやってきて、「あれ(育休)、俺はいいと思っているんだ。応援してるからさ」と言ってくださることもありました。

駒崎 ライバルである野党の重鎮も実はこっそり応援してくれている。そういう党を超えた波紋は広がっているということですね。

宮崎 そうなんです。縦にも横にも垣根を越えた広がりを感じています。