フリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリ(東京都港区)は、創業3周年を迎えた2016年2月1日から、新人事制度「merci box(メルシーボックス)」を導入することを発表しました。人事を担当する取締役、小泉文明さんに詳細を緊急取材してきました。

産休・育休を取得しても、勤務中と同額の収入が保障される

メルカリで人事を担当する取締役、小泉文明さん
メルカリで人事を担当する取締役、小泉文明さん

日経DUAL編集部 新人事制度では、産育休中の給与を会社が100%保障するそうですね。

小泉文明さん(以下、敬称略) 皆さんもご存じの通り、産休・育休中の給与を支給する仕組みは元からありました。

 例えば、産休中は健康保険から「出産手当金」として、1日につき、標準報酬日額の3分の2に相当する金額が支払われます。また、育休中は雇用保険から「育児休業給付金」として、育休最初の180日までは「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」、181日目からは「休業開始時賃金日額×支給日数×50%」が支払われます。

 今回、弊社が新設した制度では、産休・育休中の社員が、勤務中と同じ金額の給与が得られるよう、国からの給付以外の部分を会社が支援することになります。

―― 産休・育休に入っている間も、勤務中と同じように、毎月、会社から一定の金額が振り込まれるのですか?

小泉 2月1日に発表したばかりなので、まだ事例は出ていませんが、産休・育休から社員が復帰した後、一定のタイミングで支援する予定です。女性社員には産前10週と産後約6カ月の給与を、男性社員には産後8週間の給与をそれぞれ100%保障します。

―― 社員からの反応を教えてください。

小泉 喜びの声が多かったですね。ただし、社外の制度に詳しい方からは「そんなことして大丈夫?」という声も。なぜかというと、そもそも健康保険や雇用保険から支払われるお金には、「給与が出ない期間の収入の補填」という意味合いがあるのです。ですから、弊社のように勤務先がお金を支給すると、国側からの給付が減ったり支払いを減らされたり、無くされたりするのではないかと心配してくださっているのです。

 社員や社会にとってプラスになる取り組みをしているはずなのに、逆にもともとの給付がなくなってしまうかもしれないという不安が生まれてしまうのはおかしいとも思います。国は本気で人口を増やしたいと思っているなら、育児と仕事を両立しようとする人達にもっと支援を拡充すべきでしょうし、どの会社もこういった制度を整えてもいいぐらいだと思っています。当社としてはこの点はケアした制度設計をしていますが、発表後に自民党の制度面に明るい国会議員の方からも連絡を頂きました。今後も意見交換をしていきたいと思っています。