ビースタイルで雇用契約をして、産休を取ってもらう

―― 派遣元として、産休の取得を手助けしているとも聞きました。

三原 稼働者と派遣先との契約期間があと少し足りず、産休が取れないケースがあります。そういう場合は、弊社で雇用契約をして、産休を取っていただいています。この間は給与が発生しません。後日復帰を考えている方には育休も取得してもらい、ビースタイルから仕事を紹介できるまで支援したり、ビースタイル以外で働く場合でも、雇用されていることによって保育園に入りやすい状態で再就職していただいたりしています。

―― 先進的な試みですね。大手の派遣会社でもあまり聞いたことがありません。派遣元に「産育休を取得させる努力義務が、ある程度課されている」ということさえ、知らない人がほとんどです。「派遣先の契約期間が切れたらそこでおしまい」「派遣先が産育休の取得を承諾しなければ、それ以上やりようがない」と考えているケースが多い。社員を約3万人抱える超大手の外資系派遣会社に私が訪問したときも、「登録者(稼働者)に産休・育休なんて取らせたことがない」と、社長に豪語されてあぜんとしました。

違いを生むのは、経営者の経営に対する当事者意識

三原 経営者の経営に対する当事者意識が高いかどうか、つまり「オーナーシップ経営」をしている企業かどうかが、大きく関与しているのではないかと思います。派遣社員から「産育休を取得できなくて困っている」と言われたとき、「『商売だから我慢してくれ』と言ったら“カッコ悪い”」と感じ、問題を解決することが、オーナーシップ経営だと私は思います。会社の評価が自己評価と直結していますから。「困っているなら、その課題を解決しよう」と言うほうがカッコいい、と。

 ビースタイルでは、社内に限らず、取引先相手でも、「子どもが生まれるということに対して、否定的な言動は絶対に無いように」と言っています。例えば、派遣社員から「妊娠したので、仕事を辞めます」という話をされたとき、派遣先の方が「えっ!」と一瞬、嫌な顔をする場合があるんです。そんなときは「まあ、でも僕達も親に産んでもらっていますからね」と言うと、「まあそうだよね(笑)」となります。

 子どもを出産するのは、非常に大変で、かつ、ありがたいことです。そこを応援しないというスタンスは、100%無いと思うのです。

 先日、厚生労働省の方が視察にお越しになり、「派遣先から出産に対してネガティブに反応されることがあるか」と聞かれたことがありました。そこで現場に改めてヒアリングしてみたところ、ネガティブな反応があったという声はありませんでした。我々のスタンスをご理解いただいているということもあるかもしれません。