働く母親も他の社員も、欠勤率はほとんど変わらない

―― 雇用主は「急に発熱したお子さんを迎えに行くことがある」といったデメリットも考えると思うのですが、その辺りはどのようにしてクリアされたのでしょう?

三原 実は、働く母親もその他の社員も欠勤率はほとんど変わらないというデータがあります。昔は母親の欠勤を気にされる方もいらっしゃいましたが、最近では経営者側は気にされなくなったようです。

―― 雇う側の意識も変化しているのですね。主婦を雇うメリットが認識されたから、でしょうか?

三原 メリットだらけだと思います。特に近年は、職場の仕事内容が変化し、「長時間働けば成果が上がる」というタイプの仕事は減っています。逆に増えているのが、能力と成果が比例するタイプの仕事です。

 例え話を使って説明しましょう。2008年、日本で初めて「iPhone」が発売された当時、iPhoneを販売する企業が必要としたのは「とにかく長時間働いてくれる人」だったでしょう。顧客は「iPhonが欲しい」という明確なニーズを持って来店するので、他の商品に関する知識や営業ノウハウは必要なかったからです。

 しかし、最近ではどうでしょう。市場は変化し、企業は「iPhoneを売れる人」ではなく「デバイスとキャリアを理解し、機種変更を提案できる人」を求めるようになっています。

 これは一例にすぎません。モノやサービスが飽和した結果、昔のように過酷な飛び込み営業をすれば注文が取れた時代ではなくなった、ということです。顧客が利用している製品の不満やニーズをくみ取り、新しいソリューションを提示する「切り替え型ソリューション営業」ができる人でないと注文が取れません。マーケットが縮小している時代ですから、能力がなければ経済効果を導けないのです。

登録者が活躍しやすい職種は、商品開発やウェブデザイナー

―― 個々人の能力が成果に直接結び付く時代になったということですが、ビースタイルに登録している人材が活躍しやすい職種はありますか?

三原 すぐに思い付くのは、商品開発でしょうか。100時間働こうが300時間働こうが、弱い商品はやはり売れない。場合によっては2時間働くだけで良い商品を開発できる人材もいますから。また、センスが必要なウェブデザイナーも、明らかに能力や知識を持つ人のほうが短い時間でも高い成果を生み出します。

―― 子どもを持つ女性を人材として活用される場合、多様なシフトの組み方が必要になってくると思います。企業側は、社員のシフトが細かくなると、「ワークシェアをうまく管理・運営できるだろうか」「シフトが組みづらい」と感じるのではないでしょうか? それについてお聞かせいただけますか?

三原 「ワークシェアでの引き継ぎリスクはどうなるのか?」と相談されることは確かに多い。でも、「では、何を引き継ぎすればいいのですか?」と聞くと、実は引き継ぐべきことはほとんど無いのです。ノートで共有するだけで十分です。

 最近では職場でのルーティンワークも減っていますし、パワーポイントでの資料作りなどでも、あえて引き継がずに家で完成させたものをメールで送るといった形で、一人ひとりが仕事を持って動くことが多くなりました。シフトやスキルのマッチングは、企業様のニーズに合わせて、柔軟に対応するようにしています。