起業経験のある校長だから言えること
「優秀な人材なら企業が手放すわけはない。公募で集まる校長なんかロクな人材じゃないに決まっている」
何度か見かけた批判で、確かにそう受け取られても仕方ない面はある。不祥事も早々のリタイヤも、実際にあったのだから。ただ、企業の早期退職制度を利用して思い切って飛び込んできた人、たまたま人生の転機だった人もいる。私は、最初の会社に5年勤めて退社した後は、起業して自分の会社を11年運営していた。会社と言っても、私と夫だけの小さな会社だ。大きなサイト制作などの案件は、その都度、信頼できるフリーランスのプロや会社とプロジェクトチームを立ち上げて請け負っていた。
私は広報代行サービスやコンサルティングの傍ら、年80回ほど、セミナー講師を務めていた。そのため、いつも半年先までの出張予定が詰まっている。しかし、公募のあった時期は、産後4カ月。セミナー依頼をギリギリまで減らしていた時期だった。もし、公募のタイミングが産後に当たっていなければ、私は応募していない。請けた仕事の予定を見て、諦めていただろう。自営業でたまたま産後だったから、チャレンジできた。
1月26日現在、任期延長の面接は受けたが結果は未だ来ない。4月から無職になるかどうかの瀬戸際だ。でも、案外のんきに構えている。学校現場に来て知った課題を、中から変えることもできれば、外から助けることもできる。どちらにも対応できてこそ、民間から現場に来た意味がある。