皆さん、こんにちは。株式会社子育て支援の代表取締役、熊野英一です。このコラムでは、アドラー心理学をベースに「自分を<勇気づける>ことの大切さ」と「他者を<勇気づける>ことの素晴らしさ」をお伝えしています。

 お正月休みに「よし、心機一転! 今年こそ…」と、ダイエットなり英会話なり資格取得なり何か目標を立ててはみたものの、いつの間にか「寒いから、今は仕事が忙しいから、子どもがもう少し大きくなったら…」と実行は先延ばしに。きっと誰しもがこんな経験をしたことがあるでしょう。

 今回のコラムも前回に引き続き、2016年2月発売予定の私の著作『アドラー・子育て 親育てシリーズ 第1巻 育自の教科書 ~父母が学べば、子どもは伸びる~』(アルテ刊)でお伝えしている内容を再編して、私達が自分自身に言い訳をすることで、克服すべき課題から逃げようとする心のカラクリを見ていきたいと思います。

英会話、ダイエット… できないのはなぜ?

  時間に追われていて、会社の机の上の整理ができず書類が山積み
  通勤時間は英語の勉強に充てるって決めているんですけど、ついスマホを見ちゃう
  理性では良くないって分かってるけど、毎日のように子どもを感情的に叱ってしまう
  すぐに始めればよいのに、いつも仕事を締め切りギリギリまでためている …

 皆さんも、似たようなお悩みを一つくらいはお持ちではないでしょうか? 仕方ないですよね、忙しいですもの。スマホでの情報収集も必要だし。子どもは何度言っても言うこと聞かないし。仕事もなんだかんだ言って、なんとか締め切りは守れてるし・・・でも、本当にそうでしょうか?

 「あたま(理性)では分かっている」けど「(感情が言うこと聞かず)○○できない」と考えると、なんだか納得感が高いようですが、アドラー心理学では全く逆に考えます。意識と無意識、理性と感情、心と身体、のように人間を分割して、相互が矛盾していると捉えることはしません。むしろ、それらは密接不可分な一体であるとする「全体論」と言う考え方です。

 「全体論」に加えて、これまでのコラムでお伝えしてきた

■自己決定性 …人間は環境や過去の出来事の犠牲者ではなく、自ら運命を創造する力がある
■認知論 …人間は自分流の主観的な意味付けを通して物事を把握する
■目的論 …人間の行動には、その人特有の意思を伴う目的がある
■対人関係論 …人間のあらゆる行動は、相手役が存在する

といったアドラー心理学の理論を総動員して考えてみましょう。

 私達は、本当は
「I will not ~ (~しようとしない)」
「I don’t want to ~ (~したくない)」

と思っている物事を、なんらかの言い訳をつくり出して

「I cannot ~ (~したくてもできない)」
という言い方に変えて、自分をだましているのです。