子ども達は「自分と境遇の違う子」を知ることで成長していく

羽生 幼稚園のよいところ、保育園のよいところとは?

平松 幼稚園の先生達は年間計画をきっちり立てます。子どもに環境を提供して見守って、子どもがどう遊ぶかを見て、今度は何を子ども達のために用意するか、という計画です。保育園の先生には、子どもが登園してきたとき「今日はご飯食べてきたかな」「お母さん達、疲れてないかな」という家庭丸ごと面倒を見る良さがある。両方合わさればこんないいことはありません。市立園で一つのノウハウとして確立すれば、私立のこども園にも広げられます。

 こども園の良いところは保護者の就労状況などにかかわらず、質の高い幼児期の教育・保育の一体的提供が可能なことだと思います。子育て相談など地域のすべての子育て家庭を支援する機能も持っています。

羽生 保育園に通っていた子と、幼稚園に通っていた子がいます。子ども達には戸惑いはなかったのでしょうか。

平松 こども園には、子ども達にとって「自分とは違う境遇の子」がたくさんいます。自分はまだ保育園にいるのにあの子は帰っていく。「あ、いいな」と感じることもあるでしょう。自分はなんでお母さん来ないのかな、と考える。でも先生がいるよね、安心していられるよね、と心を持っていく。もちろん「あの子は長く園に残れていいな」という、その逆の例もあります。子ども達は一瞬の葛藤があって、その後に自分自身を納得させる。それが子どもの成長につながるのだと思います。多様性を認め合うということ。障害を持っている子どもも含め、ダイバーシティー(多様性)を乳児・幼児の時代から体験させることにつながります。