子育て支援、マラソンに例えるとまだ10キロ地点

羽生 保育園を増やすと、子どもを入れたい人がさらに増えて、また足りなくなる…という状態がよく「いたちごっこ」と言われますが、駆除する動物と一緒にしないで!と思います(怒)。増やし過ぎると運営が大変とか、今はニーズがあるけれどそのうち無くなるかもしれない、などと考えてなかなか一気に増設されないのでしょう。

田辺 「静岡市子ども・子育て支援プラン」では「ひろげる」「つなげる」「ささえる」の3つをポイントにしています。「ひろげる」は認定こども園の促進など、幼稚園・保育園の垣根を取り払い、親の働き方にかかわらず、すべての子どもが地域の園を利用できるよう幼児期の教育・保育の受け入れを広げていくこと。「つなげる」は小1の壁を打破し、幼児期の充実した支援を、学童期までつなげていくこと。具体的には2019年度末までに放課後児童クラブを78室新たに整備し、2500人分の受け入れ枠を確保する計画です。「ささえる」は子どもの貧困対策として、スクールソーシャルワーカーを増員したり、ひとり親の就労支援などに力を入れていきます。

羽生 静岡市が抱えている課題や、今後の抱負などを教えていただけますか。

田辺 マラソンに例えるとまだ10キロ地点です。私立の幼稚園などにも「こども園に移行しましょう」と促しています。10園くらいは賛同してくれましたが、多くは苦戦しています。私立の場合は、経営者としてのマインドが先行するからでしょう。市の実践から得たノウハウを提供することで移行を促進していきたいと思っています。

 次回は認定こども園への移行をどのように進めていったかや、認定こども園の子どもにとっての魅力などについて、詳しくご紹介します。

(文/日経DUAL編集部・砂山絵理子 写真/小野さやか)