日経DUALが昨秋に実施した「共働き 子育てしやすい街ランキング 地方編」で1位に輝いたのは静岡市。市立の保育園・幼稚園をすべて認定こども園に移行させたり、保育園に入れない子を「待機児童園」で一時預かったりするなど、共働き家庭への幅広いサポートを手掛けています。そんな静岡市の田辺信宏市長と、子ども未来局の平松以津子局長に日経DUALがインタビュー。こども園への移行に懸けてきた情熱や、子育てがしやすい街にするための取り組みなどを聞きました。

保育園は待機児童、幼稚園は定員割れ。ずっと問題意識があった

日経DUAL羽生編集長 静岡市は市立の幼稚園、保育所のこども園移行を進めてきたのですね。なぜ、こども園に着目したのですか。

田辺信宏静岡市長(以下、敬称略) 以前から、静岡市でも共働きが増えているという実感はありました。背景には「女性の社会進出」という前向きな理由のほか、デフレ不況で働かざるを得ない女性が増えていることもあると思います。そして保育園は待機児童が増えていく一方、幼稚園では定員割れで困っている…という声が多く届いていました。だんだんギャップは大きくなっていくのです。国の縦割り行政のためおかしなことになっている。平準化しなければならないなぁ、という利用者目線からの問題意識は、5年前に市長に就任してからずっと持っていました。

 そんななか、認定こども園に関する新制度の話が持ち上がり、ずーっと心に抱えてきた疑問を解決するチャンスが来たと思いました。そこで「まず隗より始めよ」の姿勢で、市立の保育園をすべてこども園にする、という決定をしました。現在、市立・私立を合わせた認定こども園の数は72園で、新制度移行に当たっての幼稚園・保育園からの移行数は、政令指定都市で最多です。

羽生 すべての市立園を! 移行は一筋縄ではいかなかったのではないでしょうか。どうやって周囲を説得したのですか。

<span style="font-weight: bold;">田辺信宏</span>(たなべ・のぶひろ)氏 静岡市議を1期、静岡県議を3期務め、大学講師等を経て2011年4月より現職。東日本大震災を受け、就任後直ちに「安心・安全なまちづくり」のための災害対策の見直しを行うとともに、子どもの医療費助成の拡大などを実現。2015年4月からの子ども・子育て支援新制度に合わせ認定こども園を推進
田辺信宏(たなべ・のぶひろ)氏 静岡市議を1期、静岡県議を3期務め、大学講師等を経て2011年4月より現職。東日本大震災を受け、就任後直ちに「安心・安全なまちづくり」のための災害対策の見直しを行うとともに、子どもの医療費助成の拡大などを実現。2015年4月からの子ども・子育て支援新制度に合わせ認定こども園を推進