昨年12月のある日、保育園からかかってきた1本の電話

 昨年の12月の記憶が、ほとんど飛んでいる。なぜかというと、息子、虎(3歳)が入院したのだ。

 それは「虎ちゃん、お熱出ちゃったみたいなので、お迎えに来てください」という保育園からの呼び出し電話で始まった。「あららまたですか……」という程度で夫が迎えにいく。その日のうちに行きつけの小児科に行き、今ある症状を抑えるための風邪薬をもらって帰宅。熱が40度を超してしまって、全く食欲がない。食べてもすぐもどしてしまう。それでも、このときは、「悪い風邪か、ウイルス性の胃腸炎かな」くらいに思っていたのだが。

 発熱4日目になってもまだ熱が下がらない。そのうち、今まで見たこともない様相で、もがき苦しみ出した。私は吐きたくても何も胃に入っていないので吐けないための苦しみだと思い、夫はひどい便秘の末だと言うが、いずれにしても尋常じゃない。この日は土曜日だったため、休日でも診てくれる子ども専門の救急病院へ朝イチで駆け込んだ。

 トリアージ(治療の優先度を決める緊急度判定)で症状を説明し、看護師さんに病状を診断してもらい、全く待たずに先生のもとへ通された。今までも何度かお世話になっていたが、その際はひどい便秘と中耳炎だったので、ある程度の待ち時間はあった。今回はそれだけ緊急度が高いということなのだろうか。

 先生に診ていただいて、血液検査をして、結果が出るまでの間、点滴をして待つ。点滴の管がいやで、抜こうとする虎を押さえつつ、夫と交代で抱っこ。15kgを抱っこし続けるのは、腰にこたえる。朝ごはんもそこそこに出てきているのでお腹も空いた。でも、その時点でもまだ、なにがしかの治療をして家に帰れるものだと思っていた。ごはんは帰ってからゆっくり食べればいいか、と。

「とにかく入院してください」と言われ、後悔

 そんな考えが一瞬にして吹き飛んだのは、午後何時ごろだったか、はっきりしない。先生から「炎症の値、白血球の数、肝臓の値が異常に高いので、とにかく入院してください」という説明があった。

 そっそんなに大変な状態だったとは。「今日、救急でかかってよかった」と思うと同時に、「もっと早く、血液検査のできる大きな病院に連れていってあげればよかった」という気持ちも湧いてくる。

 「虎ちゃん、ごめんね」