共働きファミリーが当たり前のフランス・パリ。女性だって結婚しても子どもを持っても、変わらず仕事を続けます。そんなパリのデュアラーのライフスタイルについて、現地在住20年のアーティストでジャーナリスト、永末アコさんが3回に分けてお伝えします。1回目では、日本と同じく大忙しでありながら、どこか優雅さを感じさせる朝の時間について。パリの保育園事情についても紹介します。

主婦=現在は失業者? 女性就業率は8割

 共働きファミリーが当たり前のフランス・パリ。女性だって結婚しても子どもを持っても、変わらず仕事を続けます。パーティや何かの集まりで初めて話を交わす人とは、自己紹介をした後に「お仕事は何をされているのですか?」と尋ねて、共通の話題探しをするのも普通のこと。某日仏カップルがある集まりでそう聞かれ、フランスに住み始めたばかりの日本人の奥さまが「私は主婦です」と答えようとしたところ、旦那さまが「現在彼女は失業者です」と即座に、決して意地悪ではなく答えたとか。何しろフランスの女性就業率は80%以上ともいわれており、私の周りを見回しても職業を持たない女友達は、理由のあるたった一人だけなのです。

 しかもそんな働くママン&パパに、子どもが平均2.01人います。この数の多さは欧州トップクラス。子ども3人は決してまれではなく、先日は仲良しの親戚ジュリアから「4人目ができたみたいなの」と知らされましたが、子ども4人だって最近ではもう驚きません。また「自分の二人の子が少し大きくなって生活が落ち着いてきたので、発展途上国から養子をとって3人目を育てているの」とは、最近知り合った北フランスに住む夫婦。1人、2人と、養子のいる家庭も珍しくありません。

 女性の就業率も出生率も高いフランス。その理由の一つが、子どもを待つ家庭の働きやすい環境を国や自治体がきちんと作っているからなのは、疑いのないこと。保育サービス(保育園や保育ママ)、学童保育の充実、出産・学費が無料または低費用、父親の出産休暇(母親と同等)、第三子からの家族手当、等々…。私の2人の子どもも、私が外国人でありフリーランスという身分でありながら、ちゃんと徒歩圏の保育園へ通うことができました。

 保育園の費用は家庭の収入により異なります。当時(7年ほど前)で確か一日1~20ユーロ内にある10ほどのカテゴリーから、家庭の公式な前年度の収入記録より計算された金額が市から提示され、月払いをしました。親がどんな職業に就いていても、低収入家庭であれ高収入家庭であれ、平等に保育園を利用できるシステムになっています。ちなみにこの料金システムは、公立小学校の給食や補助金を得ている音楽、バレエ、スポーツなどの幼稚園から始まる子どものお稽古事のセンターに至っでも同じです。

子ども達を幼稚園へ。入り口では園長先生と学校の管理人が迎えてくれ、教室には先生がいるので、何かがあれば、直接話します
子ども達を幼稚園へ。入り口では園長先生と学校の管理人が迎えてくれ、教室には先生がいるので、何かがあれば、直接話します