自分の身の回りで、いいことしか起こらなくなった

久野 病気になって変わった点がもう一つあります。ネガティブなことを言わない、ということ。悪口、不平不満、泣き言……ずっとそればかり言う人生だったのが、私変わったんですよ。

 そうやって、人のために何かしたいという気持ちが出てきて、さらにネガティブなことを言わないようにしてきたら、自分の周りにいいことしか起こらなくなってきた。なんだか、宗教めいていますよね(笑)。

 たとえば、靴が破れたから靴が欲しいと子どもが言っていた。いつもだったらイオンに行くのにそのときだけは子どもが「ダイエーに行きたい」と言った。「えーなんで」と言いながらもダイエーに行ったらなんと、70%オフのセール中! 普段用とお出かけ用と2足買いました。小さいことです、私の幸せって(笑)。でも1足しか買わないつもりが、2足も買えちゃったって、幸せですよね。

 ママ友が読みたいと言っていた本を、「そうだ! プレゼントしよう」と思い立って書店に行って買った。そのとき久しぶりに近くのセレクトショップをのぞいてみたら、ずっと探していて、諦めかけていたタイプの財布を見つけた。しかも予算内でおつりがくる値段だった。友達にプレゼントしようと思って出かけた先で、自分がずっと探していて諦めかけていた財布が見つかったのです。

―― 病気ってつらいことだと思うけれど、新しい自分を見つけるきっかけにもなるし、同じ人の違う側面を発見するきっかけにもなるのですね。

久野 そうですね。そして自分を思ってくれる人がいることが分かります。

 私が病気になったと知って、4年ぶりくらいに連絡をくれた先輩女性もいます。「私、あなたが治って、『元気になりました! 復職したんです!』と私に報告してくれる姿しか思い浮かばないから」と言って、『引き寄せの法則』という本を送ってくれたのです。

 実際に私は2年後、その先輩のところに言って、まさにそのセリフを口にしました。「元気になりました! 復職しました!」と。連絡をもらったのは4年ぶりでしたけれども、それまでも時折私のことを思い出してくれていたのだと思います。そんなふうに気に掛けてくれる人が、実は皆さんにもいると思うのです。そういう人のおかげで人生が変わることもあるのです。

ママが何を大切に思っていたかを伝えたい

―― 今からお子さんに伝えていることはありますか? お子さんが将来見られるようにビデオレターを撮っておくとか?

久野 1年に30カ所にがんが見つかったときは、息子が20歳になるまでの誕生日プレゼントを毎年分用意しておこうかとか、サッカーのシューズを26cmくらいまでそろえておこうかとか、色々考えました。

 今はそういうことは考えていませんが、宝物ボックスは作っています。息子とディズニーランドに行ったときのチケットとか、自分にとって特別だと思う物を入れておく箱です。今3箱目です。子どもには「この箱を見ると、ママが何を好きだったかが分かるようになっているよ」と伝えています。いずれ、私が何を大切に思っていたかを知りたくなる時がくるだろうと思うので、これは息子に託したいなと思っています。


ママの「宝ものボックス」


宝ものボックスには、息子さんと一緒に遊びに行ったときのチケットなどが納められている

(文/Integra Software Services)