“子どもとの城”を守ることが、働くモチベーション

―― 24時間365日働いていたのが、今は週末もきちんと休むようになったのですね。

久野 はい、週末はしっかり休んでいます。「私は土日は働きません」というスタンスにすると、みんな仕事を振ってこなくなります。逆に自分で仕事を見つけないといけないくらいです。

 ただ、シングルマザーですし、経済的な不安は常にあります。体が動かなくなって働けなくなったら、実家に戻るしかないでしょうけれど、それまでは母と同居するつもりはありません。自分で自分の家賃を払うことを働くモチベーションにしているからです。

 家賃を払う必要がなかったら、「仕事がイヤだな」と思ったら辞めてしまってもいいわけじゃないですか。もう既に体はしんどいのですから。そうなるのがイヤで、毎月家賃を必ず支払っていかなくてはいけないという状況に自分を置いています。だから仕事は絶対に辞められない。転職はありだと思いますが。「あそこは子どもと私の城なんだ。その城は守りたい」という気持ちがあります。

寝る前の子どもとの時間が何より楽しい

息子さんからのメッセージ「みほだいすき」
息子さんからのメッセージ「みほだいすき」

―― お子さんと2人の生活は「意外に楽しい」と前編で言っていましたね。中でもこれができるようになってとりわけうれしい、ということはありますか?

久野 今は幼稚園の送迎も、食事の世話も、サッカーの送迎も、幼稚園の行事も全部一人で行きます。全部一人でやらなくてはいけないから、大変ですよ。でも自分のペースでできる、と前向きな捉え方もできる。夜も子どもと一緒に寝て、朝は早ければ6時に起きて犬の散歩も行っちゃう。

 今、一番好きなのは、夜、子どもと一緒に寝る時間です。毎晩の寝かしつけが楽しい。うちは決して理想的な家ではないので、毎晩絵本を読んで……というわけではないですが、その日あった出来事を話したり、「ママこんな歌を歌えるようになったよ」と息子が言えば、「あ、その歌ならママも知ってる」と、一緒に歌ってみたり。歯磨きしたのにまたお菓子を食べて、「太るよ」と子どもに言われたり(笑)。寝る前の時間が一番好きですね。

 今までは義母に、息子がこんな歌を歌えるようになったと聞いても、「ふーん、私ちょっと仕事のメールを打たなきゃいけないんで」みたいな感じだったのが、今では私がキャッチしないと他に誰もいないので、できる限り彼のすべてを知るようにしています。