世界に日本人の心を広めた『武士道』の著者である新渡戸稲造博士の精神を引き継ぐ新渡戸文化学園。東京・中野区にあり、子ども園から短大までを持つ一貫校だ。中でも今、注目を浴びているのが、小学校。働く母の支援を前面に出し、敷地内に独自のアフタースクールをいち早く設置。アフタースクール専用の校舎に加え、「本物に触れる」多様なプログラムを展開している。また栄養バランスの良い給食やおやつでも定評がある。

 共働き家庭のニーズに徹底的に応えようとサービスや制度を整えたことで、入学希望者は右肩上がりに伸びた新渡戸文化学園。私立の小学校に入れても、安心して放課後も預けられるというDUAL家庭には魅力的な、そのアフタースクールを訪問した。

■前編 新渡戸文化小学校 共働き家庭が6割の人気私立

全生徒の4分の1が通うアフタースクール

 平成23年に開校した新渡戸文化学園独自のアフタースクール。学園の敷地内にあり学校から直結。様々な放課後プログラムなどを運営してきた放課後NPOアフタースクールと共同運営をしている。ここではただ放課後に漫然と過ごすというのではなく、子ども達が自主的に通いたくなるようなアフタースクールをつくってきた。さらに1年生から6年生まで誰でも通うことができるのだ。

放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩国泰さん
放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩国泰さん

 「ただ預けられる場所というのではなく、子ども達が本物に触れる場所であり、新しいことを学んだり体験できたりする場所にしたいと思っています。消極的に通うのではなく、楽しいから行く場所であってほしいんです」

 そう話すのは、アフタースクールの創設から携わってきた放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩国泰さん。小学生全校生徒約360人中の登録者は約320人。新1年生に至っては、全員が登録しているという。

 その魅力の一つは、親の就労証明が必要ないこと。働いていなくても、子どもを通わせることができるのだ。

 「親に仕事や理由がないと預けられないのでは意味がありません。親の都合で子どもを分断してしまうからです。お母さんが買い物に行きたいから預けてもいいですし、別に理由がなくても通ってきていいんです。最近では、お友達と遊ぶ時間も、遊びに行ける家や場所も減ってきています。そんなとき、『〇〇ちゃんと学校の後に遊びたいから』と一緒に来る子もいます。そういう場所でありたいと思います」と平岩さん。そうしてお友達と遊ぶにも、アフタースクールなら安全で親も安心して遊ばせられるという。

 二つ目の魅力は、週1日からでも通えること。毎週この日に行くと決める必要もない。もちろん週5日通っている子もいるが、登録さえしてあれば1日だけのスポット利用も可能だ。前日までに電話をしておけば、スポット利用も受け入れる。基本的に希望者がいる限り、断ることはしないという体制ができているのだ。

 1日の利用者は、平均すると約90人。計算すると、小学校の全生徒の4分の1が通っていることからも、人気の高さがうかがえる。

料理のプログラムを楽しむ子ども。男の子の参加も多い
料理のプログラムを楽しむ子ども。男の子の参加も多い