香港の産休事情

 香港のワーキングママには10週間の有給産休があり、一般的には出産予定日の2週間前から産休入りし、産後2カ月で仕事復帰する。10週間の有給産休が取れるのはその雇用主の下で最低でも40週間働いている場合のみ認められ、それより短いと産休は取れるが無給扱いとなる。また法律により、妊娠を理由で解雇をすることはできない。会社によっては産休後、数カ月無給休暇が認められるところもある。

 友人のキャサリン(仮名)は3歳と1歳の男の子がいる多忙なワーキングママ。最初の2人は大きすぎて帝王切開で出産したため、計画帝王切開をすることにした。産休期間を最大限に有効に使おうと、出産予定日の4日前に新しいベイビーを迎えるために大きな家に引っ越し、計画通り予定日に帝王切開で出産。パイロットを職業としている彼女にとって、地上で毎日、2カ月間も過ごせるのは稀。残りの産休は3人の子どもたちとベッタリと過ごし、仕事復帰。

 香港では中流家庭ではインドネシアやフィリピンから出稼ぎで来ている住み込みのアマさん(家政婦さん)がいるため、産後も働き続ける人が多いが、自分の意志で働くスタイルを変える人もいる。弁護士をしている友人ジョーン(仮名)は2人目の出産後はフルタイムからパートタイムに変えて、仕事と家庭とのバランスを保っている。またエイミー(仮名)はモデルという仕事を辞め、ヨガのインスタラクターになる資格を取り、自分の都合のいい時間に働いている。

 私はといえば産休の最終日に会社に行って、産休延長願いを提出したところ却下されたので、その場で退職届を提出した。キャビンクルーという仕事は天職だと思っていたが、退職後は日本語教師やライター、通訳などをし、現在は学校運営に関わっているため、子どもたちの休みと同じ時期に休みが取れる今のワークスタイルが非常に気に入っている。

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(取材・文/リン美雪 海外書き人クラブ