産前検診は病院ではなくドクターのクリニックで受け、費用は毎回500~1000香港ドル。毎回超音波写真を数枚撮ってくれて、胎児のサイズや成長などを詳しく説明してくれる。予約制なので、それほど待たされることはない。

 産むときはあらかじめ予約しておいた病院に到着すると、病院がドクターを呼んでくれる。個室、2人部屋、3人部屋があり、個室の場合のみパートナーも一緒に泊まることができる。生まれるのを待つ間、お腹が空いたら妊婦だけではなく付き添いの人にもルームサービスで食事をオーダーすることができる。麻酔師もいつでもスタンバイしているので、無痛分娩をあらかじめ希望していなくても、途中段階で切り替えることが可能。帝王切開にもすぐ対応してくれる。夫の立ち会いも可能。

 私立病院での入院は実に優雅で、毎食メニューから好きなものを選び、 家族やお友達が面会に来たらコーヒーなどもルームサービスで持ってきてくれるなど至れり、尽くせり。新生児の泣き声さえ聞こえてこなければ、まるでホリデー気分。面会時間も一度に面会する人数も特に決まっていない。個室にはシャワー・トイレもついている。ママとベビーが必要なものはすべてそろっているので、何も持たずに入院しても困らない。

私立病院の個室にあるバルコニーでメニューから選んだ食事をいただく
私立病院の個室にあるバルコニーでメニューから選んだ食事をいただく

 私が産んだ私立病院は100万ドルの夜景で有名な香港の観光スポットである、ザ・ピークにある病院だったのだが、出産翌日、看護婦さんが「赤ちゃんを見ててあげるから夫婦でレストランに行ってお祝いしてらっしゃい」と言われた。この病院で産んだ他の友人も同じ経験があると言っていた。肺に問題があり、集中治療室にいるわが子を置いて出かけるのに躊躇したが、「赤ちゃんを家に連れて帰ったら後はなかなかゆっくり二人で食事もできないわよ」という言葉に納得し、病院を抜け出し、おしゃれなレストランで夜景を見ながらお祝いの食事をした。

 香港の病院では普通分娩の場合基本的パッケージは2泊3日。帝王切開の場合は4泊5日。退院するときに支払うのは部屋代、ドクターフィー、麻酔を使ったら麻酔師フィーとすべてにお金がかかる。私立病院でもピンからキリまであり費用にも差があるが、平均すると普通の出産で5~10万香港ドル(約78~160万円)くらいかかる。