「チャットワーク」「朝メール・夜メール」……、有効なツールを次々導入

重松 例えば、社内メールでコミュニケーションするというスタイルをやめて、「チャットワーク」というツールを使用するスタイルに移行しました。クライアントごとにウェブ上掲示板に書き込んでいくイメージです。

 メールだと案件のカテゴリーが分かりづらく、大事なメールが埋もれたり確認漏れが生じたり、とリスクがありますが、チャットワークだと案件が分かりやすく、誰宛てに来たものかも表示されます。テーマごとに絞って、仕事に使いやすくしています。また、忘れないようにタスクを追加する機能もあるので、仕事の締め切りも見落とさなくなっています。

 そのほか、ワーク・ライフバランス社さんが提唱している「朝メール・夜メール」も取り入れています。毎日必ず1日に予定している業務と、“朝の一言”を書くようにしています。例えば、自宅で飼っているうさぎのことや、幻の日本酒を見つけたといったことを自由に書くのです。それに対して、夜メールでは実際に行った仕事の内容を明確にします。これを常にオープンにすると、誰が何をやっているか比較的簡単に把握することができます(参考:「朝夜2通のメールで仕事を見える化、働く時間を短縮」)。

 仕事の引き継ぎは、アナログな方法ですが、朝礼と夕礼を活用することが多いです。

―― ツールを活かせば、確認漏れやミスを防げますし、在宅勤務でも活用できるのですね。ちなみに、在宅勤務の頻度はどれくらいでしょう?

重松 昔は在宅勤務が多々ありました。従業員にパソコンを渡して家でも仕事をやるように言っていたのですが、最近は在宅勤務を止める方向に舵を切りました。現在では台風などで翌日会社に来ることが絶対に難しいという状況を除いては、パソコンを渡していません。できる限り家で仕事をさせないようにし、「家はくつろぐところ、会社は仕事をするところ」と明確に分けたほうがいいと考えます。

ママ社員にとっての最大の魅力は、「自分の企画が実現されるスピード」

―― なるほど。柔軟な在宅ワークはダイバーシティーを保証するものだとも考えられますが、場合によっては残業や過剰な労働を強制することにもなりかねない、とお考えなのですね。さて、岩澤さんは転職されてから働きやすさを実感されていますか?

取締役・岩澤優花さん
取締役・岩澤優花さん

岩澤優花(以下、岩澤) はい。弊社は働く制度そのものも働きやすさに直結していますが、最も魅力的なのは仕事が進むスピードですね。私がこれまで経験してきた他の会社だと、職場の中には担当業務ごとに「島」があって、そこに1人ずつ部長が座っていました。そして、一つの物事を決めようと思ったら、稟議書を出して、上長に承認を得る必要があり、非常に時間がかかりました。

 子どもを産んでこの会社に入ってからは、色々なことが素早く決まっていくことのよさを実感するばかりです。自分の作った企画も審議が早く、仕事の経験を積めていることは今の自信につながっています。

 例えば、私が担当しているお客様の旅館にテレビ取材が入ることになったとき、「こんな絶好のチャンスはない」と考え、テレビ放映記念プランを企画しました。木曜にお客様に提案してご承諾いただき、金曜に社内で確認、その日のうちにネットで宿泊プランを販売することができました。土曜のテレビ放映後、週末だけで多くの予約が入り、その宿の売り上げに貢献しました。

 私はもともと旅行業に携わりたいと思っていたのですが、子育てをしながら、週末勤務の多い、旅行業現場で働くのは難しく、この会社の仕事が自分のライフスタイルに合っていると感じています。平日の9時半から夕方5時の間で自分の好きなことが思う存分できていますから。もしこの会社を辞めて大企業に行ったとしたら、子どもが発熱してもなかなか休めないような環境で苦労するのではないでしょうか。

―― 家族も大切にしたい、そして仕事でもやりがいや人生の面白さを感じたい。それを両方できるのが素晴らしいですね。以前勤めていた会社は、出産を機に辞めざるを得ないという環境があったのでしょうか?