つまずきやすい“3つの時期”をどう乗り越える?

 「3年間に及ぶ受験勉強期間では、どんな子でもうまくいく時期とつまずく時期があります。親はその都度、一喜一憂してしまいがちですが、お子さんの力を信じて、どうか大らかな気持ちでお子さんを見守ってあげてください」と、西村先生。

 西村先生によると、子どもがつまずきやすい時期が3つあると言います。

【子どもがつまずきやすい時期】

① 学年が変わるとき
② 夏休みの後
③ 受験の4カ月前

 各時期について、詳しく説明していきましょう。

① 学年が変わるとき

 前回記事「子どもを気持ちよく勉強させる親、つらくさせる親」で説明した通り、中学受験の勉強は4年生から5年生に上がると1.5倍、6年生に上がると2倍というように、学習量が一気に増えます。

 特につまずきやすいのが5年生に上がるときです。4年生までは、塾の勉強も比較的易しく、ここで大きくつまずく子はあまりいません。ところが、5年生になって学習量が増え、応用問題にも取り組むようになると、これまでは暗記でなんとかクリアしていたものが、覚えきれなくなります。また、学習のやり方も「暗記して覚える」から「納得して学ぶ」に変えていかないと、理解できなくなってしまうのです。そうならないためには、早い段階からその切り替え時期を意識し、準備をしておく必要があります。

② 夏休みの後

 夏休みは学校が休みのため、受験のための勉強に集中することができます。そこで、どの子もみんな頑張って勉強をします。ところが、夏休み明けのテストでは、約半数の子が成績を落としてしまうのです。その理由は、勉強のやり方を間違っているか、体力の消耗が考えられます(以前の記事「中学受験の天王山 小6夏休み“塾別”過ごし方」で詳しく説明しています)

 「夏休み中、あんなに一生懸命勉強をしたのに結果が出ない」というのは、親も子もショックですが、ここはすぐに自信の取り戻しの作業をする必要があります。例えば、苦手な単元を1つか2つじっくりやって、きちんと理解できるようにするのです。そうすることで、「私は夏休みに頑張ったんだ!」ということを実感させてあげてください。大事なのはここでモチベーションを下げさせないことです。

③ 受験の4カ月前

 受験本番4カ月前になると、どんな子でも焦りが出始めます。しかし、この時期にあれこれやらせても、さほどの効果はのぞめません。この時期になったら、苦手の克服学習はもうせず、確実に点数が取れるものを固める学習へとシフトチェンジしていきましょう。

 また、この時期になると、塾ではひたすら演習問題に取り組むようになります。すると、解答を埋めることだけに必死になってしまい、問題をじっくり読まなくなってしまう子が出てきます。問題を読まずに、先へ急ごうとするからミスをしてしまい、その結果、さらに焦ってしまう……と悪循環に陥ってしまうことがありますので、この時期はあえてじっくり考えさせる勉強をしましょう。

 このように、それぞれの時期によって、注意するポイントがあります。