中学受験 塾の面談で先生にすべき、いい質問とは?

中学受験セミナー詳報【3】「うちの子、大丈夫でしょうか?」はNG

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テストに強い子は、学習のサイクルを確立している

 中学受験の勉強には、1週間を振り返る小テストから、1カ月を振り返る月例テスト、学力順にクラスを分ける組分けテスト、本番を意識した模擬試験など、大小様々なテストがあります。このテストの結果を見ながら、現状を把握し、対策を練り、志望校を絞り込んでいくため、テストはとても重要です。

 ところが、授業や宿題では理解できているのに、テストになると思うような点が取れない子がいます。テストに強い子と弱い子の違いは、どこにあるのでしょうか? 小川先生にアドバイスをしてもらいました。

 「ビジネスでお馴染みのPDCAをもとに、テストを生かしながら中学受験勉強を上手に進めていく学習サイクルについて説明します」

 各項目について小川先生に説明してもらいました。

【目的】

 中学受験の目標は志望校に合格することです。しかし、子どもは、大人と違って先を見通す力がまだないため、遙か先にある目標に向かって頑張ることができません。そこで、例えば「次の小テストで100点を目指す」などの小さな目標を設定し、それに向かって頑張るようにしましょう。

 また、授業を受けるときは、ただ受けるのではなく、「今日はこの単元をしっかり覚えるぞ」と目的意識を持って受けるようにしましょう。すると、おのずと次の【準備】が必要になります。

【準備】

 授業を受ける前に、テキストをパラパラとめくり、「今日は何を習うのかな?」「先週の授業は難しかったから、今日の授業はどう受けようかな?」と気持ちの準備をしておく子と、授業に行ってから学ぶ子では、授業の内容の入り方も違ってきます。しっかり予習をする必要はありませんが、今日はどの単元を学び、どういうところを注意して聞いたらよいかという程度の予備知識は身に付けておきたいものです。

 ただし、大手塾のSAPIXは事前にテキストを入手できないため、先にテキストを読むことができません。その場合は、年間の授業計画が書かれた冊子に目を通しておくといいでしょう。

【授業】

 勉強がうまくいく子といかない子の決定的な違いは、授業の受け方にあります。うまくいく子というのは、事前準備ができているので、分かることと分からないことを確認し、分からなければ、「ここを質問しなきゃ!」と次の行動へ移すことができます。また、「ここまでは分かっているから、今日家に帰ったら、こことここをやればいいんだな」と帰ってからの行動を決めることができます。

 一方、事前準備ができていない子は、授業で全部を学ぼうとします。しかし、授業はスピードが速く、先生が黒板に書いたことを書き写すだけで精一杯。先生が大事なポイントを話していても聞き逃してしまうでしょう。『家でやればいいや』と思っても、大事なポイントを聞き逃しているので、理解できず、宿題をこなすだけで時間がかかり、テスト対策まで手が回りません。テスト対策ができないから、テストの結果も思うように伸びないという、悪循環に陥ってしまうのです。つまり、勉強ができる、できないを分けるのは、授業中にできるだけ理解しようとし、分からなかった箇所に“質問マーク”を付けて後から質問するという姿勢で、授業に参加できるかどうかなのです。

【復習】

 復習というと、その日の授業で習ったことをもう一度学習するというイメージがありますが、机に向かっての学習は必要ありません。では、何をするのかといえば、その日の授業で何をやったかを思い出せばよいのです。例えば、夕食を食べながら、お母さんに「今日はこんなことを習ったよ。そのときに、先生がこんな話をしていて面白かったよ」など、授業中の映像を再現するような感じで、子どもに語ってもらうのです。授業の内容そのものでなくても構いません。先生のギャグとか友達の話とかでもいいでしょう。

【演習】

 演習というと、問題をひたすら解くというイメージがありますが、ここで大事なのは、理解できたかどうかを確認することです。その日の授業で習ったことが理解できたかどうか、ノートを見て、宿題で確かめます。ノートを見ながら、理解度を「○△×」でチェックしてみるといいでしょう。そして、演習をやってみて気づいたことをノートに書き出しておきます。例えば、この単元ではここを気をつけようなどと書いておくと、その後も意識して取り組むようになります。

【確認】

 演習を通じて、理解できていないことがあれば、次の授業で質問をしましょう。ここでの確認は、分からないことに気づくというのがポイントです。

【テスト】

 家で解くとできるのに、テストだと間違えてしまう子がいます。それは、家で勉強するペースとテスト本番で問題を解くペースが違うからです。家では時間を気にせず、じっくりと問題に取り組むことができますが、テストには時間制限があります。テストで点を取るには、スピードや持続力、集中力が必要です。

 テストに臨む前には、テスト範囲の勉強をするだけでなく、「計算は素早く解く」「文章題を解くときは大事なポイントに線を引く」など、点検ポイントをメモに書き出しておきましょう。

【直し】

 テストが戻って来たら、直しをします。ほとんどの子が、できなかったところだけを解き直しますが、それでは不十分。なぜなら、テスト直しの本来の目的は、それまでの勉強のやり方や過ごし方を振り返り、修正するためにあるものだからです。

 ですから、まずできたところを見つけてみましょう。「私はこの単元が得意なんだな」「こことここはもう大丈夫そうだ」と、自分ができるところを知っておくのです。その上で、間違ったところは、何がまずかったのかを考えてみます。「見直しが甘かった」という悔しいミスから、そもそもその単元をちゃんと理解できていなかったのではないかなど、いろいろ気づくことがあるでしょう。それを踏まえて、次はどうすればよくなるのかを考え、対策を練ります。

 ところが、テスト直しでミスしたところだけに目を向けてしまうと、子どもは「テスト=嫌なもの」と思ってしまい、なかなか力が伸びていきません。テストとは本来、できたことを知るためのもので、うれしいことを見つけるものなのです。そして、「先週、ここを確認しておいてよかったね」「あと3問できたら、合格点に届くね」とその子の頑張りを認めてあげるものなのです。

 また、間違ったところにも○があることに気づいてあげられるといいですね。問題用紙の式の跡を見て、「ここまではできているのに、惜しかったね」とよいところを見つけて、言葉にしてあげると、「次は計算ミスをしないように気をつけよう」と子ども自身が反省点に気づくことができます。

 こうして見ていくと、テストで点が取れる子というのは、きちんとテスト勉強をしているというよりは、日ごろの授業の受け方に違いがあることが分かります。塾の授業は、勉強ができる子を基準にどんどん進んでいきます(詳しくは以前の記事「中学受験 大手塾の入塾テストを甘く見ると後悔する」を一読ください)

 ですから、授業で全部学ぼうとする子は、到底吸収しきれません。授業で理解するには、その前に準備が必要であり、授業はそれが理解できたかどうかの確認をする時間であること。そして、家庭学習はできているところとできていないところを見極め、その対策を考え、立て直すところであること。こうした日々の積み重ねが、結果、テストの点へとつながっていくのです。

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