理系のお父さんは要注意! 子どもをダメにする算数の教え方

 中学受験といえば、ひと昔前までは、お母さんと子どもの二人三脚が主流でした。しかし、今はお父さんも積極的に参加する家庭が増えています。このセミナーの夜の部にも、仕事帰りのお父さんがたくさん参加されていました。

 小川先生はこう言います。

 「中学受験にお父さんが積極的に参加されるのはとてもいいことです。なぜなら、中学受験は家族全員の支えがなければ、成り立たないものだからです」

 「しかし、ここで一つだけ気を付けていただきたいことがあります。それは、子どもに勉強を教えるときの教え方です。理系のお父さんというのは、子どものときから算数や数学が得意だった方だと思います。そういう方の多くは、『こんな問題はできて当たり前』と思ってしまい、『なんでこんな問題も分からないのか?』と子どもを責めてしまいがちです。しかし、親子でも得意不得意は違うものです。ですから、自分の視点でお子さんを見ないであげてほしいのです」

 「また、理系のお父さんは数学の考え方で算数を教えようとしがちですが、それは絶対にしないでください。確かに、公式に当てはめてしまえば、簡単に解ける問題もあります。しかし、小学生が挑む中学受験では、算数として解かなければならないのです」

 「数学を知らない小学生は、使える公式がありません。だから、工夫をして解かなければなりません。例えば、家を建てるとしたら、算数はノコギリやカンナ、トンカチのようなもので、工夫に工夫が必要です。一方、数学は効率的に作業が進められる機械類のようなもの。両者は同じ目的でも、やり方がまったく違います」

2015年11月の会場の様子
2015年11月の会場の様子

 「小学生は使える道具が限られています。だから、工夫をしながら解かなければなりません。算数は工夫する力を育てる教科です。算数を解くときは、『今、分かっていることから何が分かるかな?』『もしこうしたら、こうなるのかな?』『何を書けば、解けそうかな?(例えば線分図や面積図)』というように、色々な考えを巡らせて答えを探していくものです。ですから、算数は直感ではなく、納得して理解する教科なのです。身体感覚に結びついて『なるほど!』と納得をする。それが体感できると、算数は楽しくなります」

 「もし、お父さんが算数を教えるのであれば、中学受験の算数をしっかり学習してから教えてあげてほしいと思います。お父さんが算数を勉強して、一緒に楽しんで教えてあげられるのなら、それはとてもいいことです」

 次回は、第3部のテーマ「塾の新しい学年 上手なスタートダッシュの方法」について解説します。

(図デザイン/Coccoto 柳沼恭子)

☆【お知らせ】☆ 2/20(土)『中学受験 基本のキ!』クローズド・ライブ・セミナーを東京・大手町で開催します!

 本連載「共働き中学受験 基本のキ」でおなじみの西村則康先生と小川大介先生が、2月20日(土)東京・大手町の会場で中学受験セミナーを開催します。新小学1~3年生、4~6年生に分け、ピンポイントで「今知っておくべきこと」を公開します。連載でも書籍『中学受験 基本のキ!』でも、本記事で紹介している昨年11月のセミナーでもまだ語られていない、「このセミナーでしか聞けない」貴重な情報に加えて、お得な“オリジナルのお土産”もご用意しております! ぜひご参加ください。

●セミナーの詳細はこちらです。⇒ http://www.nikkei4946.com/2016/dual/

●セミナーにご参加いただいた方には、特典の1つとして下記の書籍をプレゼントします。

 2015年11月に発売した書籍『中学受験 基本のキ!』(日経BP社)は、おかげさまでAmazon「教育学・一般」で1位を獲得し、この1月には3刷りが決定しました。本書では「中学受験に興味はあるけれど、まだ何も分からない」という小学1年生から、受験直前の6年生までのお子さんと親御さん向けの情報が満載です。

「受験初心者から本番直前の6年生まで」 DUALの本
『中学受験 基本のキ!』 発売!
著者/西村則康・小川大介
価格/1620円(税込み)

【第1章】 わが子に中学受験をさせるか否か?
【第2章】 中学受験のパートナー 塾との付き合い方
【第3章】 受験生 普段の勉強と、長期休みの戦略的な活用方法
【第4章】 男女御三家と早慶付属校の最新問題傾向
【第5章】 2015年度 中学受験ニュース
【巻末付録】 必見!プロがすすめる併願パターン

●日経BP書店で購入する

●Amazonで購入する