子どもを伸ばす親の声掛けとは?

小川大介先生
小川大介先生

 一般に中学受験は小3の2月からスタートし、受験本番まで3年間、受験のための勉強をすることになります。小学生といえば、遊びたい盛りです。また、どんなに勉強が得意な子でも、10代前半の子どもには波があり、うまくいかない時期があります。

 「そんなときに一番力になるのが、親御さんの声掛けです」

 そう話すのは、小川大介先生です。

 「『声掛け』という言葉を使うと、親が常に子どものやる気を引き出すような言葉を掛けなければいけないと思うかもしれませんが、実は『声掛け』自体より大事になるのが、それ以前の日々の親の子への向き合い方です。目の前にいるわが子を見て、『今この子は何を見て、何を感じているのだろう?』と子どもの気持ちを共有する。頑張っていたら、わが子を認め、自分が言われて嫌なことはあえて言わない。そして、何か困っているようだったら、それを聞いて助けてあげてほしいと思います」

 「ビジネスでもそうですが、クライアントとよい関係を築いていくには、『今、どんな活動をされていますか?』『何かお困りのことはありませんか?』と相手に質問をしながら共通点を見つけ、『何かお手伝いをしましょうか?』という展開になりますよね? 親子関係もそれと同じです。まずは、子どもの状況をよく知り、その上で適切な『声掛け』をするのです。ですから、一番大事なのは、わが子をしっかり見て、子どもの声を聞くことなのです」

 「ところが、受験勉強が本格化してくると、親も焦りだし、何かを与えないと気が済まなくなってしまうのです。そして、それがうまくいかないと、ついきつい言葉を投げてしまう……。中学受験でうまくいかない家庭のよくあるパターンですね。親御さんの焦る気持ちも分かります。でも、何かを与えるよりも、子どもと一緒に考えてあげる方がうまくいきます」

 また、西村先生はこう話します。

 「例えば、テストで点数が悪かったとき、親御さんの中には『何で?』『はぁ? 60点ってどういうこと?』と子どもを責める言い方をする人がいます。この『何で?』という言い方は、子どもをひとりぼっちにしてしまうんですね。だから、絶対に言わないでほしいのです」

 でも、親としては何か言いたい……。そんなときはどう言えばいいのでしょう?

 「そんなときは『あら、何があったんだろうね?』『何が起きたんだろう?』という言い方に変えてみてください。この言い方であれば、『じゃあ、次はこうしようか?』と一緒に考えることができるので、子どもをひとりぼっちにはしません」

 「逆に『なぜ?』という言葉は、うまくいっているときに使ってみましょう。例えば、『なんで今回のテストはよかったのかな?』『問題を丁寧に読んだのがよかったのかもしれないよ』という感じで使ってほしいと思います。そうすることで、これまでの自分を振り返り、成功体験を定着させることができるようになります」

 このように、親の声掛け次第でうまくいったり、逆に親子関係がギクシャクしてしまったりすることを知っておくといいですね。大事なのは、前回記事「子どもを気持ちよく勉強させる親、つらくさせる親」でも書きましたが、わが子の力を信じてあげることなのです。