テスト後の子どもに絶対掛けてはいけない言葉とは?

中学受験セミナー詳報【2】板書が遅いのは、伸びない子の特徴の一つ

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親が「なぜ?」に答えられないときは「何でだろうね?」

 「幼児期の子どもは、日常のあらゆるものに『何でだろう?』と疑問を持ちます。子どもに『どうして?』と聞かれたらできるだけ答えてあげましょう。けれど、現象の原因まですべてを説明する必要はありません。親が分からなければ『何でだろうね?』『不思議だね』と一緒に言うだけでもいいのです。大事なのは、日常の様々なことに“はてなマーク”をつけることです。このはてなマークが、今は理解できなくても、その後の学習と結びつくことがあります。つまり、この時期の体験学習は、ものを考える根本となるのです」

 幼児期の体験学習の次にあるのが、基礎学習です。これは、いわゆる「読み・書き・そろばん」を指します。

 「中学受験をするなら、この基礎学習は低学年のうちにしっかり身に付けておくことです。『読み』は、幼児期なら読み聞かせをし、小学生になったら音読をさせましょう。音読は語句の一つひとつの意味や文章のリズムなどを学ぶのに最適な学習法です。ただし、小学校の教科書の音読は簡単なので、何度も繰り返すうちに子どもは飽きてしまいます。そこで、少し背伸びをさせてやや難しい文章を読ませるといいでしょう」

 「中学受験塾の授業は、先生の板書を素早く書き写すことが求められます。なぜなら『書く』のが遅いと、先生が説明をしているときに、大事なポイントを聞き逃してしまう恐れがあるからです。実は、これが伸びない子の特徴なのです。ですから、入塾前に手早く正確に書く練習をしておきましょう」

 「早期教育はおすすめしませんが、『計算』は低学年のうちからしっかり身に付けておきましょう。中学受験ではスピードが求められます。入塾前の段階で、指で数えて計算をする子は、正直中学受験は厳しいでしょう」

 「計算や漢字などの基礎学習は、朝時間にやる習慣を付けるといいですね。1科目10分を目安にドリルなどを活用しましょう」

子どもは本来、新しいことを学ぶことが好き

 こうした基礎学習の次にあるのが、応用学習です。受験勉強はこの応用学習に当てはまります。

 「基礎学習は素早く正確に解くことが求められるため、まず手を動かすことから始まりますが、応用学習になると、考えてから解くというやり方に変えていかなければなりません」

 「中学受験というと、子どもにたくさん勉強をやらせてかわいそう……」といったマイナスのイメージを持っている方が多くいます。確かに、やり方を間違えてしまうと、それはつらい勉強になってしまいます。けれど、子どもは本来、新しいことを学ぶことが好きなのです。でも、それには、『あ~、なるほど!』という納得の快感が必要です。きちんと納得するまで理解できるようになると、勉強は楽しくなるし、知的好奇心も高まります。そうなれば、中学受験は決してつらいものではなくなります」

 「中学受験の算数で図形が苦手な子は多くいます。よく図形ができる子は“ひらめき型”と言われ、苦手な子を持つ親御さんの中には『うちの子は図形のセンスがないから』とはなから諦めている方がいます。けれども、実は図形問題を解くにはひらめきではなく知識が物を言います。色々な記憶を組み合わせて考える力が必要なのです。これまで学習してきたものの中から『あ、あれが使えそうだ!』と知識を使いこなしているだけなんですね。どんなに難しそうに見える問題でも、知識を組み合わせているに過ぎないのです。そして、この組み合わせる力は、中学受験に限らず、将来的にも使える力です」

 「このように、幼児期に日常生活の中でたくさんの体験をさせて身体感覚で学び、低学年で学習の基礎となる『読み・書き・そろばん』を身に付け、その上で応用学習へと進む。この勉強の3つの階段に子どもの成長に合わせて取り組んでいけば、中学受験をするからといって睡眠時間を削ってまで勉強をしなくても大丈夫です。逆に幼児期の体験学習を十分にさせずに、早い段階から計算ドリルをやらせたり、早期教育へと走ってしまったりする家庭の子は、ものを考える経験をせずに、ただ勉強をさせられているため、“勉強=つらいもの”となってしまいます」

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