子どもに「片づけなさい!」という前に、まず親も知っておきたいのが“片づけの基本”。モノが片づきやすくなるキーワードや、収納の基本原則を家族全員で共有することで、「なんで、いつも同じこと言わせるの!」といったストレスは格段に減る。
「収育」というコンセプトで親子向けに片づけのノウハウを提供する一般社団法人日本収納検定協会代表の小島弘章さんは「家族みんなでモノを管理する上でのキーワードは二つ。“適正量”と“定位置”です」と説明する。
“適正量”とは、一つひとつのモノがいくつあれば充分かという数や分量のこと。
たとえば、家族全員で使うタオルが何枚あれば充分なのか。ハサミは何本あればいいのか。“適正量”を把握すると、必要以上にモノを買うこともなくなる。「収納王子コジマジック」として数千件の片づけサポートをしてきた小島さんは、「家の中に爪切りが10個あった!」といった例も頻繁に見てきたという。適正量を意識することで、このような過剰なムダ買いも防げる。
もう一つのキーワード、“定位置”とは「モノの住所」のこと。「どこに何を置くか」という場所を、家族全員のルールとしてしっかり決めておくことが重要だ。
よくあるのは、この定位置を「家事リーダーの母親だけが把握している」というパターン。結果、「ママ、油性ペンはどこ?」「裁縫セットはどこだっけ?」と質問が母親に集中し、忙しい平日朝などは家族全員がストレスフル状態になってしまう。食事で全員が顔を合わせる時間などに、「リモコン置き場はどこにする?」など合意をとるようにしよう。
この定位置の問題について、実践女子大学生活科学部准教授の松田純子さんは「一度決めたら、大人がきちんと守ることが重要」とアドバイス。
「子どもは一度ルールを教えられると、従順に守ろうとするもの。リモコンの定位置はリビングのテーブルの上と決めたはずなのに、ある日はキッチンボードの上に置かれていると、子どもは迷います。大人にとっては『たまたまここに置いただけ』と柔軟に判断できることも、子どもにとっては混乱のもとに。意識的に気をつけましょう」(松田さん)
モノを「しまう場所」を決める段階にも、ちょっとしたコツがある。モノを出し入れしやすい収納を意識することで、「使った後にしまうストレス」が激減し、片づけの習慣が定着しやすくなるのだ。親子で覚えておきたい「収納の法則」をいくつか紹介しよう。