こ、ここまでマニュアルどおりに人間が行動していいのだろうか……と不安になるくらい、息子のかんしゃくはするすると終わっていったのだった……ちょっとしたときに「ワッ」となりそうになっても自らリカバリーするようになり、明らかにこう、一歩前進したというか、「これ、やっててもしょうがないな……」的な感じで、べつのステージへあがったような感じがしたのだった。もちろん家以外の場所では対応が難しかったりもするけれど、でも「叫ぶ」という方法じたいが息子のなかから消えていったように思う。

心底ありがたい誰かの言葉で救われる

 あのとき保健師さんに相談しなかったら、わたしはまだ「言葉が通じるんだから、言葉で気持ちを理解するべき」とか「きっと、話せばわかってくれるはず」と思って、おなじことをくりかしていたような気がする。

 本当に不安に思っていることや心配していることを口にするのは思っているより勇気がいるけれど、ふとしたきっかけや誰かのひとことで、かちかちに固まっていたものがふっと溶けるようによくなることがある。そういうことって大事だなあ、心の底からありがたいな、と今日もフレシネを飲んでひとりうんうん肯くのだった。

■フレシネのウェブサイトはこちら
honto+でも同コラムを掲載しています。