「来月から評価制度を変える」と急に言われたら? 学年が上がる本当の意味

 上の図は、大手中学受験塾に4年生から6年生まで3年間通った場合の勉強量を表したものです。4年生の段階では週2日の授業が、5年生では週3日、6年生では週4~6日とほぼ毎日塾へ行くことになり、中学受験の勉強は学年が上がるごとに大変になることが分かります。

 ここで知っていただきたいのが、学習量が変わるタイミングです。大手塾の新学年のスタートは、学校における前の学年の2月1日からです。つまり小学校5年生であれば、4年生の2月1日からが5年生の学習カリキュラムのスタートとなります。これは、どういうことかというと、2月1日を境に、授業時間も宿題の量も、テストの数も直しも、突然1.5倍の量に増えるということです。

 それが6年生になると、さらに1.5~2倍に増えるのですから、相当大変な状況になることが予想されます。

 小川先生は参加者に向かってこう語ります。

 「考えてもみてください。皆さんの職場でいきなり『来月から評価制度を変えます』と言われたらどうしますか? 『売り上げを今までの1.5倍に増やさなければ評価を下げる』と言われたら、評価制度が切り替わる日のために前もって何かしらの対策を取りますよね? 中学受験の勉強も同じことです。翌年の2月1日から学習量が変わると分かっているのですから、その準備をしておく必要があります」

 「具体的に言うと、11月ごろから徐々に勉強量を増やしていき、2月から無理なくスタートを切れるようにするのです。ここでスタートがうまく切れるかどうかで、その後の受験勉強が変わってきます」

 「具体的な学習方法については第3部で詳しく説明しますが、中学受験の勉強も仕事と同じで、PDCAサイクル(Plan【計画】→Do【実行】→Check【確認】→Action【行動】)で進めていくことをおすすめします。このときに、特に重点を置いていただきたいのが『C』の『確認』です」

 「中学受験では、学年が上がるにつれ、毎週のようにテストがあります。テスト直しというと、間違ったところを解き直すことと単純に思っている方も多いと思いますが、そうではありません。勉強のやり方やプロセスなど、お子さんの受験勉強が全体的にうまく回っているかを点検し、うまくいっていないところを修正することを指すのです。ところが、それを知らずに、間違った勉強のやり方のまま、ただ闇雲に勉強をさせてしまっている家庭がとても多い。それが、中学受験をつらくする原因と言ってもいいでしょう」

 では、正しい勉強のやり方とはどんなものなのでしょうか?