こんにちは、とけいじ千絵です。

 私は「審食美眼(=食に対する審美眼)を磨き、彩りある食生活を」をモットーに、小さな子どもを持つパパ・ママ向けに講座を開いたり、フードアナリストとして企業の商品開発のお手伝いや執筆活動をしたりするなど、「食育」に携わっています。

 前回は「好き嫌いしない子に育てる レシピはそのままでOK」というお話をしました。今回は「離乳期・幼児期に意識して取りたい3つの栄養素」についてお話ししたいと思います。

 私の主催する講座で受講生からの質問が特に多いのは、栄養に関することです。生後6カ月くらいまでは、母乳や育児用ミルクに必要な栄養素がすべて含まれているため、ある意味安心です。

 ところが離乳期が始まると、子どもの体が作られる食事を親が作っていかなくてはならず、さらに子どもの好き嫌いも出てくると、食事からきちんと栄養が取れているのか不安になりますよね。

 また、本やネットには、「離乳期・幼児期にはこの栄養素が大切、あの栄養素も大切」とたくさんの情報が書いてあり、結局のところ、本当に優先して取るべき栄養素が分からなくなってしまうようです。

 まず、私が最初にお伝えしたいことは、大人が必要としている栄養素と子どもが必要としている栄養素は違うということです。

 例えば食物繊維。「食物繊維を取りましょう、野菜をたくさん取りましょう」といいますが、本来、食物繊維の主な効能は、脂質、たんぱく質、糖質などの栄養素の吸収を緩やかにすることにあります。すなわち、カロリーの高いものや油っこいものを食べて太り気味な大人にとって食物繊維は非常に大切なものですが、離乳期・幼児期の子どもは、脂質、たんぱく質、糖質などを積極的に取って体を成長させる必要がありますから、大人ほど、食物繊維を取らなくてはと必死になる必要はありません。(中公新書『子どもの食事』/根岸宏邦/2000年 を参考)

 また、最近大人の間では、パンや白米を制限するダイエットがはやっていますが、主食になる炭水化物は、子どもの脳にも体にもエネルギーとして不可欠です。発育期の子どもはしっかりと炭水化物を取らなくてはいけません。