現トップの成功体験とは真逆! 「人口オーナス期」対応のルール変更を

 休憩を挟み、後半は「Special Talk小室淑恵の女性活躍推進のコツ、教えます」と題して、ワーク・ライフバランス 代表取締役社長の小室淑恵さんが、聞き手の羽生祥子・日経DUAL編集長と登壇しました。

 小室さんはスライドで、ハーバード大学のデビッド・ブルーム氏が10年前から提唱している「人口ボーナス期」と「人口オーナス期」を解説しました。

 ある社会が「多産多死」から「少産少子」に切り替わる際、生産年齢の人口が増えるのが人口ボーナス期。人口ボーナス期には、高齢者は少ない一方で若い労働力が豊富なために経済発展しやすい時期です。1960~90年代の“アジアの奇跡”のほとんどは、この人口ボーナス期の理論で説明できます。

 「しかし、日本の人口ボーナス期は90年代に終わっている」と小室さん。

 オーナス(onus)は「重荷、負担」という意味。日本は主要国で最も少子高齢化の進行が早いスピードで進み、人口オーナス期に入りました。その主な原因は「待機児童ゼロに本気で取り組まなかったため女性が職場復帰できず、現在の労働力を減らすことになった」「長時間労働環境を改善しなかったことで、仕事を続けたい女性が、未来の労働力である子どもを産むという選択を考えられなかった」の2つだと小室さんは指摘します。

 「『人口ボーナス期の成長をもう一度!』という政策はもう通用しないので、人口オーナス期に経済発展するルールへの変革が急務」と小室さん。

 羽生編集長とのトークの中では、「時短女性」「管理職女性」「対男性上司」の3つのテーマに基づき、まだ人口ボーナス期のつもりでいる上司やモーレツ社員に対するコミュニケーション方法など、多岐にわたる具体的な対策が語られました。

左から、ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵さん、羽生祥子・日経DUAL編集長
左から、ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵さん、羽生祥子・日経DUAL編集長