原子の組み合わせが変わるとものの性質はガラリと変わる

 ご存じの通り、水の分子を化学式で表すとH2O。つまり酸素原子(O)1つと水素原子(H)2つが結びついた物質です。ではデンプン分子はどうかというと、酸素原子、水素原子、炭素原子の3種類がいくつも複雑に組み合わさってできています。この世の中のあらゆるものは、このように何種類かの原子が組み合わさった分子が数え切れないほど集まった形で存在しています。

 ここで押さえておきたいのは、分子と原子の違い。ポイントは「ものの最小単位は原子だけれど、その『もの』としての性質を備える最小単位は分子」だということです。

 例えば、私達の生命活動に欠かせない酸素には、無色無臭、水に溶けにくい、燃焼を助ける……といった性質がありますが、それらが発揮されるのは酸素原子が2つセットになった酸素分子(O2)となってこそ。単体の酸素原子だけでは酸素として機能しません(単体で分子のように機能する原子もあります)。

 私達の体の6割を占める水にしても、燃料として使われるメタン(CH4)にしても、強烈な臭いのするアンモニア(NH3)にしても、原子同士の結合が破れた途端にそれぞれの性質を失います。