水分子の大きさは1000万分の3ミリ

 ともあれ麻生さんも言う通り、ものの最小単位は原子です。私達が日々の生活で直接感じることができるのは、原子より大きいレベルの出来事だけ。そもそもヒトの体も、生きるために欠かせない水も空気も、すべての物質は原子の組み合わせでできているからです。ここからはものが原子によって成り立つ、その道筋を見ていきましょう。

 例えば、お米の粒を半分に割り、それをまた半分に割り……ということを際限なく繰り返していったら、どうなるか?

 「米粒をどこまでも小さく砕いていくと、そのうち細胞レベルまで分解されます。細胞のサイズは大きいものでも0.1mm以下です。顕微鏡ならもちろん見えますが、肉眼だとよほど目のいい人でも小さな点として認識できるかどうか。ここまでくるとさすがに手作業では無理ですが、さらに分解していくといずれ細胞を形作る水やデンプンなどの分子にたどり着きます」

 ちなみに米1粒は約18万個もの細胞でできているといわれ、細胞1個はほとんど無数といっていいほどたくさんの分子でできています。いきおい分子のサイズは文字通りの極小ですから、肉眼ではもちろん普通の光学顕微鏡でも見ることはできません。

 「分子の大きさはものによってだいぶ違いますが、水分子はほぼ1000万分の3ミリ。これは大がかりな電子顕微鏡を使ってようやく見ることができるサイズです」