2020年に東京オリンピックを控え、ますます注目を集める日本文化。子どもにも色んなことを体験させてあげたいけれど、自分に経験がない上、子どもに何を体験させればいいか迷っている親も少なくないのではないでしょうか。

 そこで今回取り上げるのが、落語や講談といった普段馴染みのない日本の伝統文化を、子どもでも楽しめるように工夫を凝らした「THEこども寄席」。来年10周年を迎え、近年は毎回ほぼ満員になるこの人気イベントをレポートします。

子どもが集中して見られる開演前の工夫

THEこども寄席 vol.18 (実施日:2015年11月14日<土>)
出演者・プログラム内容
神田京子(講談)
ストレート松浦(ジャグリング)
五明樓玉の輔(ごめいろう たまのすけ)(落語)

 11月14日、小雨の降る土曜日。中央区にある日本橋教育会館に、たくさんの親子が集まりました。この日ここで開催されたのは、マゼル・ジャパン主催による「THEこども寄席」。普段なかなか接する機会のない落語や講談という文化を、初めての子どもや大人でも親しみやすいように工夫を凝らしたイベントです。

 参加している子どもの年齢は年中から小学校低学年くらいが多く、中にはそれより大きな子の姿もちらほら見えます。会場は10時となっていましたが、ロビーには開場前から早くも大勢の親子が。人が集まってきたのをみて、少し早めの開場となりました。

 開演前のお楽しみとして、今回ロビーの隅には「mini高座」なるコーナーが用意されていました。子どもたちが金色の羽織を着て高座にあがり、手ぬぐいや扇子を持って落語家になりきって写真を撮れるコーナーです。来場者の多くが列を作り、わが子の落語家姿をパシャリ。これからはじまる寄席に向けて期待が膨らみます。

落語家定番の扇子と手ぬぐいを手に、子どもの気分も高まる
落語家定番の扇子と手ぬぐいを手に、子どもの気分も高まる

 「開演前に子ども達が楽しめる工夫は、どの公演でも必ず企画しています。落語に興味があって来てくれるお子さんもいますが、大半は親御さんに連れてこられただけで、面白さや企画をまだよく分かっていない子。そうした子もこうした開演前のお楽しみを体験することで『これは自分達のためのイベントなんだ』と理解してくれます。実際にこうして開演前から気分を盛り上げることで、開演してからも子ども達は集中して見てくれていますね」

 そう話してくれたのは、こども寄席を主催するマゼル・ジャパンの田村紀子さん。mini高座の他に、これまで投扇興や射的などの「ミニ縁日」を開催しているといいます。

 また、受付脇では子ども向けの落語絵本の販売も。「たいこばら」「ちりとてちん」などの落語の演目を、子どもでもわかりやすいように軽快な文章とイラストで表現した絵本です。このコーナーにも多くの親子が詰めかけ、「これ買って~」など元気な声が飛び交っていました。

会場ではこども寄席オリジナルの絵本の販売も
会場ではこども寄席オリジナルの絵本の販売も

 この日は雨だったにも関わらず、ホールは150名を超える来場者でほぼ満席状態。客電が落ちてお囃子が流れだすと、いよいよ開演です。

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