仕事の引き継ぎ方法などは、自分からどんどん提案を

 できれば、相談の際は、仕事の引き継ぎ方法を上司に考えてもらうのではなく、自分から提案をして上司に承諾を得る、という形にしてください。上司の心配、不安のわだかまりを一つ一つ解きほぐすような対応をしてください。上司が復帰者であるあなたの存在に不安が無くなったとき、あなたの素晴らしい仕事ぶりは正当に評価されるはずです。

 復帰者にもいろんな不安はありますが、復帰者の上司は復帰者が予想するよりずっと大きな不安を抱えています。上司を復帰者の敵にしてしまうのか最大の味方とするのか、は復帰者のコミュニケーション次第です。ぜひ3ステップ・フレームワークを上手に使って、お互いがパートナーとして互いにW−Wになる関係を築いてください。

 W−W交渉は「テイクアンドテイク」でも「テイクアンドギブ」でもありません。「ギブアンドテイク」です。まずは、相手の望むモノを与えることでしか自身が望むモノを得ることはできません。自分の仕事ぶりを認めてほしい(承認欲求を満たしてほしい)のであれば、上司の安心欲求を先に満たすこと、がW−W交渉の鉄則です。

 3ステップ・フレームワークによるW−W交渉術を使いこなすには、少々訓練が必要ですが、大丈夫! 育児経験のあるあなたなら絶対出来るようになります。なぜなら、どんなにやっかいな人でも、あなたが相手の味方であることをはっきりと表明すれば、たいてい話を聞いてくれますし、折り合いをつけようとしてくれます。

 特に上司の立場にいる人は、高いモチベーションを見せてくれる部下にはなんとか協力したい、と思うはず(あなたが上司の立場であったら、意欲の高い部下を邪険に扱うことはできませんよね)。そして、もしあなたの上司が完璧なマネジャーでなく、たとえ欠点だらけの人であったとしても、さすがにイヤイヤ期の幼児のように泣き叫んだり、書類をビリビリに破ったり、お財布の中身をぶちまけたり、ビルのロビーで寝っ転がってじだんだを踏んだりはしないでしょう。

 既にこのような修羅場を何度も経験し、どうにか解決してきたあなたなら、上司とW−W交渉を成功させることくらい朝飯前、だと思います!