女性が活躍する企業は業績が伸びる

―― 日本でも女性の活躍が期待されていて、政府は2020年までに女性管理職の割合を30%にするという目標を掲げています。アメリカでは子育て世代の女性CEOが活躍していたり、「初の女性大統領誕生か」といったことも話題に上ったりしますね。

学長 女性が専門的な仕事を持ち始めた1970年代に比べると状況は大きく変化したと思います。それでもまだ道のりは遠いです。フォーチュン誌が発表したアメリカの上位500企業のうち、女性社長はわずか5%。経営幹部に女性がいる企業が15%、理事会に女性が名を連ねている企業が17%だけです。

 理由として考えられるのは、男性が自分達のネットワークの中で次世代の理事や取締役を引き上げてきたリしているということ。そこに女性が食い込んでいくためには、幹部候補を探すコンサルタントと手を組むなど、私達自身も戦略を立て、行動する必要があると考えています。

 女性が活躍する機会が増え、地位も向上してきましたが、まだまだ目に見えない「ガラスの天井」に阻まれています。それを打ち破る努力をし続けなくてはなりません。

―― 女性リーダーの数が増えると、社会にとってどんないいことがあると考えますか。

学長 まず女性自身に多くの利益があります。自己実現によって、人生を謳歌することができます。さらに企業にとっても有益です。女性が活躍している企業は男性中心の企業よりもいい業績を上げていることが、フォーチュン誌や国際通貨基金(IMF)などの多くの研究で明らかになっています。

 ペパーダイン大学のロイ・アドラー教授がフォーチュン誌の上位500企業を対象に行った調査によると、女性を取締役などに積極的に登用している企業は、収益率や総資産比率、自己資本比率といった様々な指標において、同業種の平均値を上回るという結果が出ているそうです。

 国家単位で見たときにも、女性が活躍している社会ほど一般的に経済基盤が強固になり、家庭内も安定していて、子ども達へ教育の機会もきちんと与えられています。乳幼児死亡率も下がるなど、いいことがたくさんあります。