認定NPO法人フローレンス代表理事・駒崎弘樹さんと、これからの社会をより住みやすい場所にしていくためにできることを考える連載「DUAL世代が社会を変える」。最終回となる今回は、「10年後の社会」について、駒崎さんが思うところを語ります。

to doを一つずつ達成していくしかない

 こんにちは。認定NPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹です。この連載では、共働き育児中のDUAL世代が前向きに目の前の課題を乗り越え、将来を開いていくために大事だと僕が感じている思考や視点についてお伝えしてきました。今回でいよいよ最終回。DUAL編集部からは「10年後の社会」について話してほしい、というリクエストをもらいました。

 率直に言うと、僕自身は「10年後の社会」に対して、すごく明るい展望を持っているわけではありません。知れば知るほど、解決しなければならない課題は山積みしていることに気づきますし、人口減少など課題解決の壁になるマイナス条件も少なくない。“明るい未来”は簡単にはやってこないだろう、というのが正直な実感です。

 しかし、だからといって未来が明るくならないわけではありません。僕達がもっと生きやすい社会像を追求し、それを手に入れるためのto doを一つずつ達成していくことで、着実に未来は明るくなる。

 できることからやるしかない。その思いは日に日に強まっています。

 そして、その「未来をつくる」主体の主人公であるのが、今まさにこれを読んでいるDUAL世代。僕達には大きなテーマが背負わされています。そのテーマとは「新しいライフスタイルの創造」です。

僕達DUAL世代が試されているのは?

 親世代にとっては当たり前だった「猛烈に働く男と、家庭を守る女」という旧式ライフスタイルを守り続けていくと、国が破綻することはすでに労働人口統計上から明らかであり、政府も遅まきながらモデルチェンジを図ろうとしています(いわゆる「130万円の壁」、配偶者控除撤廃の議論etc)。

 女性が無理なく社会で活躍するためには、男性の家事育児参加は不可欠。妻に任せっぱなしの“家庭内アウトソーシング”で成立していた旧型モデルを180度変える「家族2.0改革」が迫られています。そして、その改革を実践するのは僕達DUAL世代なのです。

 この連載でも重ねて伝えてきましたが、僕達が試されているのはこの時代のモデルチェンジの牽引役になれるか、というミッションです。変わるためには捨てなければいけないものもある。つまり、親世代から刷り込まれてきた「こうあるべき」という期待や願望を振り切らないといけない。

 もし僕達の世代がこのモデルチェンジに失敗したらどうなるのか。僕達はもちろん、子ども達の世代もまた同じ苦しみを繰り返すことになるのです。

 僕自身も引き続き、自分の足元で「家族2.0改革」を進めていきたいと思っています。