たった1本のセンターピンさえ狙えばいい

 今回の赤ちゃん縁組事業もそうですが、僕は「おかしいな」「変えるべきだな」という問題を発見した時点で、「絶対に解決できる」と信じて向き合うようにしています。

 解決できない問題はない。だって、その問題を生み出したのは所詮、人間なんです。「なぜこうなっている?」という問いを繰り返していくと、全体の構造が見えてきて、問題の核心を突き止めることができます。「解決できっこない」と思っているうちは、問題の本質を知ろうとしていないだけ。考えれば解決策は見えてくる

 ボーリングをイメージしてみてください。10本のピンを倒すためにはすべてのピンに球を当てる必要はなく、たった1本のセンターピンさえ狙えばいい。この問題のセンターピンはどこにあるのか? 突き止めたら仲間と一緒にセンターピンを狙いに行けば、隙のないように見えた壁だって簡単に崩せます。

 そもそも僕達がやろうとしていることは、そんなに難しいことではないはずです。空を赤くするとか、海を真水にするといった超難題ではなく、「保育園を増やしたい」「生まれてすぐ殺される赤ちゃんをゼロにしたい」という願って当たり前のもの。人がつくった問題は、人が必ず解けます。

 知ろうとする。解決しようと向き合う。そういう意識を僕達が持つだけで、10年後の社会は絶対に明るくなる。未来をつくる担い手として、DUAL世代の皆さんとこれからも一緒に進んでいきたいと思っています。

(文/宮本恵理子 写真/鈴木愛子)