もうすぐお正月。毎年、おせち料理はどうしていますか? 「おせち料理は買うもの」と決めている人や、「おせち料理なんて必要ない」と考えている人も多いと思いますが、DUALの料理記事でおなじみの料理家、本田明子さんは「もし小さいお子さんがいるのであれば、自分で作ってみてはいかがでしょう」と提案します。なぜおせちを自分で作るのか。そして具体的にはどう作ればいいのか。「無理せずに、始められるところから始めればいい」という本田さんに、簡単に料理できるおせち料理レシピを3つ、教えていただきます。

お正月料理に託す「健康と平和の祈り」を、子ども達に伝えよう

―――先日、本田さんは『娘に伝えたい おせち料理と季節のごちそう』という書籍を刊行しました。なぜ娘さんにおせち料理を伝えたいと思ったのですか。

 まずお断りしておきたいのは、『娘に伝えたい おせち料理と季節のごちそう』という本のタイトルについて。「娘」という言葉を使っていますが、これは「おせち料理は女性が作るべき」という意味ではありません。私には2人の娘がいたのでこういうタイトルになりましたが、息子がいたら息子にも伝えたい。だって、大山くまおさんだって厨房に入るんですからね(笑)[連載「ダメパパ、厨房に入る」参照]。要は「次の世代に伝えたい」という意味のタイトルなのです。

 ではなぜ子どもに伝えたいかというと、おせちが日本の大切な食文化だから。

 おせち料理は、年の初めに平和と健康への祈りを込め、草木や水に感謝する大切な食事です。親戚一同が集まっておせち料理を一緒に食べるということに、大きな意味があるんです。普段は家族だけで暮らしていても、自分の周りにはこれだけたくさんの人がいて、みんながお互いのことに関心を持ち、この一年、元気に過ごせるようにということを願っている。それを肌で感じることが、子どもにとってとても大きな意味があると思っています。

 私自身、子どものときにお正月に作られる食事のにおいや味を楽しみ、音を聞き、親戚一同が集まって食事をするという特別な時間を何度も経験しました。そのことが、懐かしい思い出として今も記憶のなかに残っています。できれば、そういう体験をぜひ次の世代にも伝えていきたい。そのために、本を書きました。

 DUAL読者の皆さんも、ぜひ日本の大切な食文化「おせち料理」をお子さん達に伝えてあげてください。でも、そのために無理をする必要はありません。始められるところから、始めていけばいいんです。最初は、3品程度で十分。そこから毎年1つずつ増やしていけば、子どもが成人するころに、きっとすてきな「わが家のおせち料理」が完成しているはずです。

―――では早速、本田さんの書籍から比較的簡単に料理できるおせち料理レシピを3つ、ご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。最初は「市販の黒豆を自分らしい味に変身させる」料理です。