誰もが人生のアスリート。「頑張りすぎないこと」も大事
幼い二人の子どもを育てながら、専務取締役として社長である夫に併走する日々。
仕事も育児も常に全力疾走を続けてきたある日、高橋さんは入院を余儀なくされた。「ママ、大丈夫?」と幼いわが子(当時、5歳と3歳)に心配される毎日。心だけは前を向いても体が全く動かない。つらい経験を受け止める中で、自分のバイオリズムに向き合うことの重要性に気づいたという高橋さん。「私達は皆、人生のアスリートである」という独自の持論を展開しながら、自分自身のリズムをマネジメントすることの必要性をこう語る。
「あなたも私も誰もが人生のアスリート、というのは何も毎日が過酷なトレーニングであり鍛錬であるとか、ことさらにストイックな根性論をお伝えしたいわけではないのです。例えば、金メダリストを思い浮かべてください。彼らは私達に、どうしてあれほどまでの感動を与えてくれるのでしょうか。日々の練習の成果の賜物であることはもちろんですが、その人自身から滲み出る人生観に私達は心を動かされているのではないでしょうか」
スポーツ選手達は皆、まず自分のコンディションを知り、トレーニングメニューを立てる。金メダルを目指し、日々全力で努力する。と同時に、本番に最大の力を発揮するために力を緩めること、つまり「頑張りすぎないこと」にも注力しているのだ。「誰もがアスリートである」というのは、私達もまた、自分のバイオリズムを知ることで「全力を出し切る日」と「力を緩める日」を自らマネジメントすることの必要性を意味する。
「そのためには他人様が用意してくれたメニューに沿った人生を生きるのではなく、自分だけのプログラムを選んで生きるという発想が肝心です。なぜなら日々、努力をして命を輝かせる親の姿を見せることこそ、子ども達にとっての何よりの指針となる」からだと言う。
「不調な自分を嫌いにならない」「疲れを知る」ということは美しいことだと高橋さんは言う。調子がいいときもそうでないときも丸ごと自分を愛する。
「自分を愛せない母親は、きっと子どもを本当に愛することもできないですから」と直球ストレートのメッセージが続く。