1日3分の積み重ねでキレイなおうちを実現「高橋ゆきの『楽々キレイ』」の連載でお馴染みの家事研究家・高橋ゆきさん。1999年の創業以来家事代行サービスのパイオニアでありリーディングカンパニーである株式会社ベアーズの専務取締役として自ら仕事と二児の子育てに追われながら奔走してきました。チャレンジの連続であった波瀾万丈の半生。経営者として母として妻として、どんな毎日を送ってこられたのでしょうか。

その高橋さんが社員研修で必ず行うという「愛の授業」。別名“専務塾”と呼ばれ、今では講演会や社外からの依頼も増えています。内容は「愛とは何か?」に始まり、バイオリズムマネジメント術に基づく部下の褒め方、叱るタイミング……など多岐にわたりますが、すべてに通底しているのは「愛」。

門外不出である授業の一部をDUAL 読者のために特別公開しながら、高橋さんご自身の子ども時代、ワークライフバランス、子育て論などに迫っていきます。

* ベアーズは「家事代行1~10位!家事専門vs育児と併用」「ベビーシッター1~10位!教育力vs使い勝手」でも紹介しています。

「暮らし」という単位を支えるインフラとして

高橋ゆきさん
高橋ゆきさん

 「女性の愛する心を応援したい」

 家事代行という言葉がまだ日本に馴染みのなかったあのころ、このスローガンとともに創業したベアーズ。「家事って本来、愛から始まるものなんです」と語る高橋ゆきさん。

 ベアーズにはベアーズレディと呼ばれる、20代から80代まで幅広い年齢層のスタッフがいる。彼女達は「家事のプロ」として掃除や洗濯、料理、子育てまで、幅広い家事の代行業を通じて、頑張る女性達の笑顔を創りだしている。

 高橋さんは2014年7月から、経済産業省下に設けられた家事代行サービス品質推進協会のメンバーとして参画し、これからの「日本の新しい暮らし」に対応する「インフラサービス」として家事代行を根づかせるべく日々、尽力している。

 2015年1月。新年の挨拶文として高橋さんがベアーズレディに贈った長いメッセージ。その中にこんな一文がある。

 「日本は、今まさに政治の世界から女性活躍推進を唱えていますが、そのためには私は『暮らし』という単位を支え、日々、生活の中で家庭や家族がぐらつかないように、サポートすることが重要なのではないかと常々思っています」

 「女性が輝く社会」というスローガンの下、家庭内の労働力が経済の場に参加するようにと推奨することは家庭の主婦に対して「アルバイトに出掛けてみませんか」と促すようなもの。そうは言っても、子育て真っ最中で大変な人達に、さらに外で働こうよ、と呼びかけたところで、なかなか難しいのが現実。

 「一足飛びに『働く女性』を増やそうとするだけでは、成長戦略の伸びしろなど期待できない。女性の活躍推進と言うならば、まずは主婦という単位が暮らしやすい日本をつくり、彼女達を支えていかなくては

 高橋さんには勤務時間、雇用形態、キャリアに関係なく、ママ達が毎日、笑顔で仕事をやりきることができるのは「主婦である時間」をしっかり持ててこそ、という思いがある。だからこそ、要となるママの気持ちがぐらつかないように、エンドレスな家事の負担を軽減するため、家事代行サービスを誰もがもっと気軽に利用できる「インフラ」にしたい。高橋さんはそう考えているのだ。

 そのまなざしは「働くママ」ばかりではなく、専業主婦にも向けられる。家事と育児だけに向き合わなければならない専業主婦こそ、密室の中で人知れず追いつめられてしまいがちだ。ママ達の揺れる気持ちや肉体的疲労感からもたらされる慢性的な不安感を何とかしたいという。